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大学院生の扶養は年収いくらまで?年齢別の壁と改正ポイント

大学院生

この記事のポイント

大学院生の扶養は年収と年齢で決まる。23歳未満は最大150万円、23歳以上は123万円が上限。貸与型奨学金は算入外だがTA・RA給与は算入対象。

大学院生の扶養は年収いくらまで?年齢別の壁と改正ポイント

「大学院生になっても親の扶養に入れるの?バイトをいくらまでなら稼いでいいか、奨学金は収入に含まれるのかも気になって不安…」

こうした疑問に答えます。

本記事の内容

  • 大学院生が扶養に入れる年齢と年収の条件
  • 2026年時点の年収の壁と扶養控除の整理
  • 奨学金・TA/RAが収入に含まれるかの判断基準

大学院生は年齢制限なく親の扶養に入れますが、年収103万円(所得税)または130万円(社会保険)を超えると扶養から外れる可能性があります。

奨学金や収入カウントの不安も含め、本記事で扶養内に収めるための判断基準をまとめていますので、ぜひ最後まで読んでみてください。

大学院生は親の扶養に入れる?基本的な考え方

大学院生であっても、奨学金の受給やアルバイト収入を調整することで、一定の条件を満たせば親の扶養に入れます。ただし「扶養」には税法上と社会保険上の2種類があり、それぞれ仕組みも条件も異なります。

税法上の扶養と社会保険上の扶養の違い

「扶養に入る」という言葉は、2つの異なる制度を指します。

税法上の扶養とは、所得税・住民税の計算で親の課税所得から一定額を差し引く「扶養控除」の制度です。大学院生本人の年収が一定額以下であれば、親の税負担が軽くなります。

社会保険上の扶養とは、親が加入する健康保険の被扶養者になれる制度です。被扶養者になると、大学院生は自分で国民健康保険料を払わずに、親の健康保険証を使えます。

種類内容恩恵を受ける人
税法上の扶養親の所得税・住民税が軽減される
社会保険上の扶養国民健康保険料の支払いが不要になる大学院生本人

両者は制度が独立しているため、「税法上は扶養内でも、社会保険上は扶養を外れる」というケースもあります。年収が増えたときは、2つの基準をそれぞれ確認することが必要です。

大学院生が扶養に入るための年収の条件

2種類の扶養にはそれぞれ年収の上限があります。

税法上の扶養(扶養控除の対象)に入るには、大学院生の年収が123万円以下であることが条件です。年収123万円は、給与収入の場合の目安であり、所得でいうと48万円以下に相当します。

社会保険上の扶養(健康保険の被扶養者)に入るには、原則として年収130万円未満が条件です。ただし、2025年10月以降は19歳以上23歳未満の扶養親族について年収150万円未満へと基準が引き上げられています。

扶養の種類年齢年収の条件(2026年)
税法上(扶養控除)全年齢共通123万円以下
社会保険上(健康保険)23歳以上130万円未満
社会保険上(健康保険)19歳以上23歳未満150万円未満

年収が上限を超えると、税法上の扶養控除はゼロになり、社会保険上の扶養は外れて自分で国民健康保険に加入する必要が生じます。

年齢によって異なる扶養控除の種類

税法上の扶養控除は、扶養親族の年齢によって3種類に分かれています。

16歳以上の扶養親族に適用されるのが「一般扶養控除」で、控除額は38万円です。多くの23歳以上の大学院生はこの区分に該当します。

19歳以上23歳未満の扶養親族には「特定扶養控除」が適用され、控除額は63万円に増額されます。修士課程の途中まで(22歳まで)はこの区分の対象になるケースが多いです。

2026年分から新たに「特定親族特別控除」も設けられました。これは19歳以上23歳未満の扶養親族の年収が123万円を超えた場合でも、150万円までは63万円の控除を維持し、150万円超〜188万円の範囲では控除額が段階的に縮小する仕組みです。

控除の種類年齢要件年収要件控除額
一般扶養控除16歳以上123万円以下38万円
特定扶養控除19歳以上23歳未満123万円以下63万円
特定親族特別控除19歳以上23歳未満123万円超〜150万円63万円
特定親族特別控除19歳以上23歳未満150万円超〜188万円段階的に逓減

年齢の判定は、その年の12月31日時点の年齢で行います。22歳で在学中でも、年内に23歳の誕生日を迎えると、その年分から特定扶養控除の対象外になるため注意が必要です。

大学院生の扶養と年収の壁の整理

前のセクションで確認した2種類の扶養について、年収の壁と年齢による違いをより詳しく整理します。

19歳以上23歳未満の大学院生の扱い

19歳以上23歳未満の大学院生は、税法上「特定扶養親族」に該当し、一般の扶養親族より高い控除額が親の所得から差し引かれます。

年齢の判定は毎年12月31日時点で行います。修士1年で入学した22歳の院生であれば、その年の12月31日時点で22歳なら特定扶養親族として親の税負担が大きく軽減されます。

2025年(令和7年)の税制改正により、新たに「特定親族特別控除」が設けられました。改正前は年収103万円を超えると控除がゼロになる「崖」がありましたが、改正後は段階的な控除に移行しています。

19歳以上23歳未満の院生が対象となる税の扶養の仕組みをまとめると次のとおりです。

年収(給与収入)の範囲適用される控除控除額
123万円以下特定扶養控除63万円
123万円超〜150万円以下特定親族特別控除(満額)63万円
150万円超〜188万円以下特定親族特別控除(段階的に逓減)63万円〜3万円
188万円超控除なし0円

社会保険(健康保険)の扶養については、2025年10月1日以降、19歳以上23歳未満の子の年収要件が「130万円未満」から「150万円未満」に引き上げられました。税の改正と合わせて、この世代は実質的に150万円未満まで親の扶養内で働けるようになっています。

23歳以上の大学院生が注意すること

23歳以上になると、特定扶養控除も特定親族特別控除も適用されません。修士課程を修了して24歳以上で博士課程に進学した院生はこのケースに該当します。

23歳以上の院生が対象になるのは「一般扶養控除」です。この場合、年収(給与収入)が123万円以下であれば38万円の控除を親が受けられます。

特定扶養親族の63万円と比べると控除額が25万円少なく、親の税負担の差は課税所得に応じておおむね2〜3万円程度になります。

23歳以上の院生が注意すべき主なポイントは以下のとおりです。

  • 年収123万円を超えると親の一般扶養控除がゼロになる
  • 23歳以上には特定親族特別控除の段階的な救済措置が適用されない
  • TA・RAの給与や奨学金の一部が収入に算入される場合がある

24歳の大学院生でも扶養から外れるわけではなく、年収要件を満たす限り一般扶養親族として親の税負担を軽減できます。ただし控除額の差を意識して収入管理することが重要です。

2025〜2026年の税制改正で変わったこと

2025年(令和7年)度の税制改正では、「103万円の壁」を起点にした複数の制度変更が同時に行われました。

変更点を整理すると次のとおりです。

変更項目改正前改正後(2025年以降)
給与所得控除の最低額55万円65万円
基礎控除(所得税)48万円58万円
年収の壁(一般)103万円123万円
特定扶養控除の上限年収103万円(所得48万円)123万円(所得58万円)
特定親族特別控除(新設)なし123万円超〜188万円以下で段階控除
社会保険の扶養上限(19〜22歳)130万円未満150万円未満(2025年10月〜)

これらの改正は2025年分の所得税(2026年の確定申告・年末調整)から適用されます。扶養の有無を判断する際は、2026年時点での最新の基準を参照する必要があります。

特定親族特別控除は19歳以上23歳未満を対象とした制度です。23歳以上の大学院生には適用されない点に注意が必要です。

奨学金については、日本学生支援機構の貸与型奨学金は非課税で収入にカウントされませんが、給付型奨学金は税務上の扱いに注意が必要なケースがあります。第二種奨学金を利用する場合、奨学金の金利負担についても事前に返済計画を確認し、不明な点は各大学の学生支援課や税務署に確認することをおすすめします。

扶養内に収めるための収入管理のポイント

大学院生が扶養内に収まるには、収入の種類ごとに「扶養の収入として算入されるか否か」を把握した上で、年収の壁を意識した働き方を選ぶことが大切です。

奨学金・TA/RA収入は扶養の収入に含まれるか

収入の種類によって扶養への算入ルールは異なります。

税法上の扶養(扶養控除)に関しては、日本学生支援機構(JASSO)の貸与型奨学金(第一種・第二種)は将来的に奨学金の返済義務が生じる借入金であり、所得には含まれません。

給付型奨学金も学資に充てるための金品として所得税法第9条により非課税所得とされるため、税法上の扶養判定では収入に算入されません。

社会保険の扶養(健康保険)については、扱いが異なります。健康保険の被扶養者認定では、「生活費を補う継続的な収入」があるかどうかで判断します。

給付型奨学金を継続的な収入と見なす組合も存在するため、親の加入している健康保険組合に事前確認することが必要です。

TA(ティーチング・アシスタント)やRA(リサーチ・アシスタント)の報酬は大学との雇用契約に基づく給与収入であり、税法上・社会保険上のいずれの扶養判定でも収入に算入されます。

収入の種類税法上の扶養への算入社会保険の扶養への算入注意点
貸与型奨学金(第一種・第二種)含まれない含まれない奨学金の保証人の設定や返済が必要な借入金のため所得に非該当
給付型奨学金(JASSO等)含まれない組合により異なる健保組合に要確認
TA・RA給与含まれる含まれる雇用契約に基づく給与収入
アルバイト給与含まれる含まれる合計額に注意

TA・RAとアルバイトの両方を掛け持ちしている場合、合算した年収で扶養判定が行われる点に注意が必要です。

いくらまで稼いでいいか年収の壁を確認する

扶養に影響する年収の壁は1つではなく、税法上と社会保険上でそれぞれ異なります。自分の年齢と親の状況に応じた壁を確認することが収入管理の基本です。

2026年時点での主な年収の壁は次のとおりです。

壁の種類金額の目安超えた場合の影響対象
税法上の扶養控除(一般)年収123万円超親の一般扶養控除38万円がゼロになる全年齢
特定扶養控除・特定親族特別控除年収188万円超親の控除が完全にゼロになる19歳以上23歳未満
社会保険の扶養(23歳以上)年収130万円以上健康保険の被扶養者から外れる23歳以上
社会保険の扶養(19〜22歳)年収150万円以上健康保険の被扶養者から外れる19歳以上23歳未満

19歳以上23歳未満の大学院生であれば、税法上は年収188万円まで親の控除が段階的に残ります。社会保険は年収150万円未満であれば被扶養者のままでいられます。

実質的に最も注意すべき壁は社会保険の「150万円」といえます。

23歳以上の大学院生は、税法上の壁が年収123万円であり、かつ特定親族特別控除の救済措置も適用されません。社会保険の壁(130万円)と合わせて、年収123万円〜130万円の範囲内に収めることが扶養維持の目安になります。

扶養を超えた場合の親と本人への影響

年収の壁を超えると、親と本人の双方に経済的な影響が発生します。

親への影響は税負担の増加です。一般扶養控除(38万円)が消えると、親の所得税率が20%の場合で年間約7.6万円、住民税(10%)では3.8万円、合計で約11万円の増税になります。

特定扶養控除(63万円)が消えた場合は同じ計算で最大約17万円の増税となります。

本人への影響は社会保険料の発生です。健康保険の被扶養者から外れると、国民健康保険と国民年金に自分で加入しなければなりません。国民健康保険料に加えて、大学院生の年金(国民年金保険料)の支払いや学生納付特例の手続きについても自身で管理する必要があります。

国民年金保険料は月額約1.7万円(2026年度)であり、年間で約20万円の負担が生じます。

影響の種類対象金額の目安
一般扶養控除の消失(所得税・住民税)年間約5〜11万円の増税
特定扶養控除の消失(所得税・住民税)年間約9〜17万円の増税
国民健康保険料の発生本人年間数万円〜(収入・自治体による)
国民年金保険料の発生本人年間約20万円(月約1.7万円)

扶養を超えることで、親と本人を合わせた世帯全体の負担が急増します。年収がわずかに壁を超える場合は、アルバイトのシフトを調整するか、TA・RAの稼働時間を見直すことで扶養内に抑えるほうが世帯の手取りが増えるケースが多いです。

大学院生が扶養に関して気をつけること

大学院生の扶養には、年収の壁だけでなく「年齢の判定タイミング」や「在籍状況の変化」など、見落としやすい落とし穴があります。特殊ケースへの対処を事前に把握しておくことが、扶養の維持につながります。

早生まれの場合の対象年齢の確認

扶養控除の年齢判定は、その年の12月31日時点の年齢で行います。

「19歳以上23歳未満」の特定扶養控除は、当日の年齢ではなく、あくまで12月31日時点の年齢で判定されます。早生まれ(1月1日〜4月1日生まれ)の大学院生は、同じ学年の仲間より判定年齢が1歳若くなるため、適用される控除の種類が変わる場合があります。

例として、2003年2月生まれの大学院1年生を考えてみます。同学年の多くは2002年4月〜2003年3月生まれであり、2026年12月31日時点ではすでに23歳になっています。

早生まれの場合は2026年12月31日時点での年齢がまだ22歳となるため、特定扶養控除(63万円)の対象が1年長く続きます。

誕生月2026年12月31日時点の年齢2026年分の控除区分
2002年5月〜2003年1月生まれ23歳一般扶養控除(38万円)または対象外
2003年2月〜2004年1月生まれ22歳特定扶養控除(63万円)の対象

逆に、大学1年生の子供が1月生まれの場合、12月31日時点では同学年の中で誕生日が最も早く来るため、一般扶養控除(38万円)しか受けられないケースも生じます。

年末調整・確定申告の際は、子供の誕生日と12月31日時点の年齢を必ず確認してから控除区分を判断してください。

留年・博士課程延長時の年齢条件の変化

特定扶養控除の対象は「19歳以上23歳未満」という年齢条件のみで判断します。在籍年数や留年・延長の有無は一切関係ありません。

修士課程で留年し、24歳まで在学することになった場合、24歳になった年度から特定扶養控除(63万円)の対象外となります。一般扶養控除(38万円)への切り替えは自動ではなく、年末調整や確定申告で正しい控除区分に変更する必要があります。

博士課程に進学した場合も同様です。博士課程の標準修了年数は3年ですが、研究の進捗により修了が延びることがあります。

在籍状況2026年12月31日時点控除区分
修士1年(22歳)22歳特定扶養控除(63万円)適用
修士留年(24歳)24歳対象外(一般扶養控除38万円のみ)
博士1年(23歳)23歳一般扶養控除(38万円)のみ
博士延長(27歳)27歳一般扶養控除(38万円)のみ

23歳以上であれば、在学中であっても特定扶養控除の恩恵は受けられません。一般扶養控除(38万円)は引き続き適用されるため、年収123万円以下を維持する意義は残ります。

留年や延長が決まったタイミングで親と情報共有し、その年の年末調整における控除区分の変更漏れがないか確認することが大切です。

勤労学生控除との組み合わせで得できるケース

勤労学生控除は、学校に在籍しながら働く学生が受けられる所得控除で、大学院生も対象です。

2026年(令和8年分)の勤労学生控除の要件は、合計所得金額が85万円以下(給与収入換算で年収163万円以下)かつ勤労所得以外の所得が10万円以下であることです。控除額は所得税で27万円、住民税で26万円となります。

ただし、勤労学生控除の最大の注意点は、「本人の所得税・住民税は下がるが、親の扶養控除の判定には影響しない」という点です。

本人が勤労学生控除を申請した結果、年収が130万円を超えると、親の扶養控除は失われます。家族全体の収支を考えると、得になるケースと損になるケースを見極める必要があります。

年収帯勤労学生控除の効果親の扶養控除世帯への影響
年収123万円以下本人の税負担がゼロまたは微少維持組み合わせの恩恵は限定的
年収123万円超〜130万円以下本人の所得税軽減に貢献維持(一般扶養控除)本人・親ともにメリット
年収130万円超〜163万円以下本人の所得税が発生しない消失親の増税分を要確認

19歳以上23歳未満の大学院生で年収が123万円を超える見込みの場合、特定親族特別控除(最大63万円)が段階的に適用されるため、勤労学生控除との重複メリットは小さくなります。一方、23歳以上の大学院生で年収が123万円をやや超えそうな場合、勤労学生控除を申請することで本人の手取りを守りながら、年収を130万円未満に抑えて親の一般扶養控除(38万円)を維持するという使い方が現実的なメリットになります。また、毎月の生活設計においては、奨学金の振込日もあわせて確認し、資金繰りに支障がないようにしておきましょう。

まとめ:大学院生の扶養は年齢と年収の組み合わせで判断しよう

大学院生の扶養は「税法上の扶養」と「社会保険上の扶養」の2種類があり、それぞれ年収の基準が異なります。さらに2025〜2026年の税制改正により、制度の内容も大きく変わっています。

本記事のポイント

  • 扶養には税法上と社会保険上の2種類があり、年収の壁はそれぞれ別に確認する必要がある
  • 19歳以上23歳未満は特定扶養控除(63万円)と特定親族特別控除の対象で、2026年は150万円未満まで社会保険の扶養にも入れる
  • TA・RAやアルバイトの合算収入が壁を超えると親・本人ともに負担が増えるため、年収管理を早めに始めることが大切

2026年時点の最新基準を踏まえて年齢と年収を確認すれば、扶養の維持と収入のバランスを適切に取れるようになります。

奨学金や院生特有の収入に関する具体的な判断でお困りの場合は、お気軽にご相談ください。

扶養 大学院生に関するよくある質問

参考文献

  1. No.1180 扶養控除|国税庁
  2. No.1177 特定親族特別控除|国税庁
  3. 「年収の壁」への対応|厚生労働省

執筆者

Daigakukan Renkei 編集部
Daigakukan Renkei 編集部

編集部

大学院生のための総合情報メディア「Daigakukan Renkei」編集部。元大学院生の運営者を中心に、自身のリアルな経験と最新のデータに基づき、研究、キャリア、生活、メンタルヘルスに役立つ情報をわかりやすくお届けします。

監修者

Daigakukan Renkei リサーチチーム
Daigakukan Renkei リサーチチーム

リサーチチーム

「Daigakukan Renkei」に掲載される記事の事実確認とデータ収集を担う専門チームです。各種官公庁の統計、学術動向、奨学金や就職市場の最新データを日々調査・分析しています。客観的かつ信頼性の高い一次情報に基づいたコンテンツ監修を行っています。

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