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奨学金はいくら借りるのがベスト?大学院生の適正額と計算手順

大学院生

この記事のポイント

奨学金いくら借りるのがベストかは、卒業後の月手取りの10%以内に返済が収まるよう逆算して決めるのが基本。在学費用の総額から給付型・TA/RA等の収入を差し引いた不足分と、返済上限から算出した借入上限を比較し、小さい方を採用すると借りすぎを防げる。

奨学金はいくら借りるのがベスト?大学院生の適正額と計算手順

「奨学金をいくら借りるのがベストか分からない。借りすぎて返済が重荷になるのも怖いし、足りなくて研究に集中できないのも困る」

こうした疑問に答えます。

本記事の内容

  • 大学院生向け奨学金の適正額の考え方
  • 借入額を計算する手順と返済シミュレーション
  • 金額設定でよくある失敗と対策

奨学金をいくら借りるのがベストかは、月々の生活費・学費・収入を整理し、返済可能額から逆算して決めるのが基本です。

文系・理系や自宅・一人暮らしといった条件によって適正額は変わりますが、本記事ではどんな状況にも使える計算手順を紹介しています。最後まで読めば、2026年の申請に向けて自分に合った借入額を自信を持って設定できます。

奨学金はいくら借りるのがベスト?大学院生向け適正額の考え方

奨学金の借入額は「必要な金額」ではなく「返済できる金額」から逆算して決めるのが基本的な考え方です。借りすぎも借りなさすぎも生活を圧迫するリスクがあるため、適正額の目安を押さえておく必要があります。

借りすぎ・少なすぎが起きる理由

大学院生が借入額の設定を誤る背景には、収支の見積もりが甘いことが挙げられます。申請時点では生活費・学費・研究費の全体像が見えておらず、感覚で月額を選んでしまうケースが多くあります。

借りすぎのパターンと少なすぎのパターンを比較すると以下のようになります。

パターン主な原因結果
借りすぎ満額を選んでしまう・生活費を多めに見積もる卒業後の返済が長期・重額になる
少なすぎ仕送りや給付型と合算せず設定する研究費・学会参加費が捻出できない

どちらも「在学中の支出と卒業後の返済を同時に試算しなかった」ことが共通の原因です。

返済可能額から逆算する考え方

適正な借入総額は、卒業後の返済可能月額に返済期間(最大20年)を掛けて算出します。

たとえば修士2年間をJASSO第二種で借りるとすると、月10万円×24か月で総借入額は240万円です。これを20年で返すと月1万円の返済となり、手取り20万円の収入なら返済比率は5%と余裕のある水準に収まります。

具体的には、卒業後の想定手取り月収に10%をかけて月々の返済上限を求め、そこに返済期間(最長20年=240か月)を掛けた金額が借入総額の上限となります。この上限を在学月数で割ることで、適正な月額借入額が導けます。将来の奨学金の返済シミュレーションはJASSOの公式ツールで試算できるため、申請前に必ず確認しておくことが重要です。

月手取りの10%以内を目安にする

返済額が手取りの10%以内に収まっていれば、住居費や食費などの基本生活費を確保しながら無理なく返済できるとされています。

具体的な目安を示すと以下のようになります。

卒業後の手取り月収返済上限(10%)借入総額の目安(20年返済)
18万円1万8千円約432万円
20万円2万円約480万円
22万円2万2千円約528万円

修士2年間の場合、国立大学院の授業料は年間約54万円(2年で約108万円)、生活費は下宿生で月12〜13万円程度が目安です。これらの合計から給付型奨学金・TA/RA収入・仕送りを差し引いた不足分を、上記の上限総額と照らし合わせて借入額を決めます。

手取り20万円を想定して10%ルールを適用すると、月2万円・20年返済で総額480万円が上限となります。修士2年の借入総額がこの範囲に収まるよう月額を設定するのが、借りすぎを防ぐ最も実践的な方法です。

大学院生が奨学金の借入額を計算する手順

適正な借入額は「かかる費用」と「使える収入」の差額から導き出します。感覚で決めると借りすぎ・不足のどちらかに陥るため、3ステップで順番に整理するのが確実です。

①在学中の費用を洗い出す

まず在学中にかかる費用を漏れなく書き出すところから始めます。学費だけでなく、生活費・研究費・学会参加費まで含めることが重要です。

修士2年間を例に、費用の主な内訳を示します。

費目国立大学院の目安私立大学院の目安
授業料(2年間)約108万円(年54万円)約160〜200万円(研究科による)
入学料約28万円約20〜30万円
住居費(月5.5万円×24か月)約132万円同左
食費(月2.5万円×24か月)約60万円同左
光熱・通信費(月1.5万円×24か月)約36万円同左
研究費・学会参加費(概算)約10〜20万円同左
合計目安約374〜384万円約430〜490万円

研究科や生活スタイルによって金額は変わりますが、国立大学院修士課程で下宿する場合は総額400万円前後を目安にするとよいでしょう。また、20歳以上の場合は大学院生の年金(国民年金保険料)の支払い、または学生納付特例の手続きについても考えておく必要があります。

②利用できる収入源をまとめる

次に、奨学金以外で使える収入をすべてリストアップします。収入源を見落とすと、実際より多く奨学金を借りてしまうリスクが生じます。

大学院生の収入として活用できる主な収入源は以下のとおりです。

  • 給付型奨学金(JASSO第一区分の場合、修士生は月額2〜3万円程度)
  • TA(ティーチング・アシスタント):大学の演習や実験の補助で月1〜5万円程度
  • RA(リサーチ・アシスタント):指導教員の研究室から給与が出るケースで月数万円〜
  • 学振(日本学術振興会特別研究員):採用されれば月20万円の研究奨励費(競争率は高い)
  • 仕送り:家庭からの支援がある場合は月額を確認する
  • アルバイト:学業や研究時間との兼ね合いを考えて適切な大学院生のバイトを選び、収入を予測します。

また、アルバイトやTA/RAの収入が増える場合は、親の扶養から外れないよう、扶養内の大学院生としていられる年収の壁を把握しておく必要があります。

③不足分に借りすぎ防止の上限を確認する

「①の総費用」から「②の総収入」を引いた不足分が、奨学金で賄うべき理論上の必要額です。しかし、この金額をそのまま借りるのではなく、返済可能額から算出した上限と照らし合わせます。

返済上限の確認には、想定手取り月収を基準にした試算が有効です。手取り月収別の借入上限は次の表のとおりです。

卒業後の手取り月収月返済上限(10%)借入総額の上限(20年)修士2年の月額上限
18万円1万8千円約432万円約18万円
20万円2万円約480万円約20万円
22万円2万2千円約528万円約22万円

不足額と返済上限額を並べて小さい方を採用するのが、借りすぎを防ぐ最後のチェックポイントです。

確認項目計算例
①在学中の総費用約380万円(国立・修士2年・下宿)
②在学中の総収入(奨学金除く)給付型36万円+TA24万円+仕送り96万円=156万円
必要な借入総額(①−②)約224万円
返済上限から算出した借入上限月2万円×240か月=480万円
採用する借入総額224万円(必要額のほうが小さいため)
月額借入額(÷24か月)約93,000円 → 第二種の9万円台を選択

必要額が返済上限を下回る場合は、必要額に合わせた月額を選びます。逆に必要額が上限を超える場合は、収入源を増やすか支出を圧縮して、返済上限内に収めることを検討しましょう。

大学院生が奨学金を選ぶときの注意点

大学院の奨学金制度は学部とは仕組みが異なる部分が多く、選ぶ前に制度の全体像を把握しておくことが重要です。種類ごとの特性を理解したうえで、自分の収入状況や在学期間に合わせた最適な組み合わせを考えましょう。

給付型・第一種・第二種の違いを把握する

JASSO(日本学生支援機構)の奨学金には「給付型」「第一種(無利子貸与)」「第二種(有利子貸与)」の3種類がありますが、大学院生が利用できる種類は限られています。

JASSO の給付型奨学金は学部生のみを対象とした制度で、修士・博士課程の学生は対象外です。大学院生が利用できる JASSO 奨学金は、第一種と第二種の貸与型に限られます。

以下に3種類の主な違いをまとめます。

種類返済義務利子大学院生の利用月額の目安(修士)
給付型なしなし利用不可
第一種(無利子貸与)ありなし利用可5万円・8万8,000円から選択
第二種(有利子貸与)あり年3%上限利用可5万〜15万円(1万円単位)

第一種は返済時に利子がつかないため総返済額が抑えられる半面、選択できる月額のパターンが少なく、審査の学力・家計基準も厳しい傾向があります。第二種は月額を1万円単位で柔軟に設定できますが、利子分だけ総返済額が増える点を念頭に置きましょう。

借入額を決める際は、第一種で足りるかをまず確認し、不足があれば第二種で補う順番で検討するのが基本です。

また、JASSO 以外にも各大学が独自に設ける奨学金や民間奨学金が存在します。これらは給付型(返済不要)のものが多く、選考の際に奨学金の面接が課されることもあります。条件を満たせば貸与型奨学金と併用できる場合もあるため、進学先の大学院の支援制度も合わせて調べておきましょう。

TA/RA・学振・フェローシップとの組み合わせを検討する

大学院生には奨学金以外にも複数の収入源があります。これらをうまく組み合わせることで、借入額を抑えながら生活費を確保できます。

主な支援制度と特徴は以下のとおりです。

  • TA(ティーチング・アシスタント):学部生の授業補助を行う業務で、月1〜5万円程度の給与が支払われます。奨学金との併給制限がなく活用しやすい制度です。
  • RA(リサーチ・アシスタント):指導教員の研究プロジェクトに参加する形で給与を得る制度。研究内容や所属研究室によって報酬は異なりますが、月数万円〜10万円程度のケースもあります。
  • 学振(日本学術振興会特別研究員):DC1・DC2として採用されると月20万円の研究奨励費が支給されます。ただし採用率は10〜20%程度と競争率が高く、採用後は他のフェローシップとの重複受給が原則禁止です。
  • 大学フェローシップ・SPRING など:JST(科学技術振興機構)が実施するプログラムで、博士課程学生を対象に月15〜20万円程度が支給されます。学振との重複は不可ですが、TA/RA との組み合わせは認められるケースが多くなっています。

これらの制度は申請タイミングや採用結果によって収入が変動するため、確実に得られる収入(TA/RA)と競争採用の収入(学振・フェローシップ)を分けて収支計画を立てるのが安全です。競争採用の結果が出る前に奨学金の月額を決める必要がある場合は、不採用のケースを前提に借入額を設定し、採用された際に減額申請するという順序が現実的です。

修士と博士で異なる在学期間と総借入額を確認する

奨学金の適切な借入額を判断するには、修士か博士かによって在学期間が大きく異なることを念頭に置く必要があります。月額の設定を誤ると、総借入額が想定を大幅に超えてしまうケースがあります。

修士・博士それぞれの在学期間と総借入額の目安は次のとおりです。

課程標準在学期間月額9万円の場合の総借入額月額12万円の場合の総借入額
修士課程24か月(2年)約216万円約288万円
博士前期課程24か月(2年)約216万円約288万円
博士後期課程36か月(3年)約324万円約432万円
修士+博士一貫60か月(5年)約540万円約720万円

修士2年間であれば月9万円台でも総借入額は200万円台に収まりますが、博士後期課程まで進む場合は同じ月額でも累積額が修士の1.5倍に膨らみます。修士入学時点で博士進学を視野に入れているなら、修士の段階から借入額を抑え気味に設定しておくことが将来の返済負担を軽くするうえで有効です。

博士課程では学振やフェローシップによる収入が得られる可能性が修士より高い点も考慮しましょう。博士1年目は申請結果が判明する前のため奨学金が必要でも、採用後は減額・辞退の手続きをとることで総借入額を計画的に抑えられます。

奨学金の金額設定でよくある失敗と対策

奨学金の借入額を決める際、多くの人が同じパターンの失敗を繰り返しています。失敗の共通点は「在学中の支出を正確に把握しないまま金額を決めてしまうこと」です。

ここでは代表的な3つの失敗パターンとその対策を紹介します。

満額を借りてしまうケース

奨学金の申請画面で「どの金額にするか」を選ぶとき、「とりあえず上限にしておけば安心」という心理が働くことがあります。しかし満額借入は、返済総額を大きく膨らませる最も典型的な失敗です。

ありがちな状況として、月15万円(第二種上限)を2年間借りた場合、総借入額は360万円になります。これを20年で返済すると毎月の返済額は約1万8,000円となり、手取り20万円の収入では返済比率が9%に達します。

生活費の値上がりや予期しない出費が重なると、返済が家計を圧迫し始めます。

実際の利用者への調査では、奨学金の返済に「非常に負担を感じる」「負担を感じる」と答えた人が合わせて7割に上ります。「500万円近く借りたことで、20年以上にわたる返済が続いている」という声もあり、月収の10%を超える返済負担が精神的なストレスにつながるケースも報告されています。

対策は、申請前に「必要最小限の額はいくらか」を収支計算で確認してから金額を選ぶことです。不足が生じた場合には減額申請ではなく増額申請が必要になりますが、増額は審査が伴うため、初期設定を低めにして後から増やす方向よりも、必要額を正確に見積もってから申請する方が確実です。

研究費や学会費を見落とすケース

大学院生特有の支出として、研究活動に直接かかる費用があります。これらは学部時代にはほぼ存在しなかった費用であり、奨学金の月額設定時に計算から抜け落ちやすい項目です。

見落とされやすい費用の例は以下のとおりです。

費用項目年間の目安備考
学会年会費5,000〜1万5,000円所属学会の数によって変動
学会参加費(国内)1〜5万円/回発表・聴講で金額が異なる
学会参加費(国際)5〜15万円/回旅費・宿泊費含む
論文投稿料・掲載料0〜20万円/本オープンアクセス誌は高額になる場合あり
実験・調査用消耗品研究室による補助が出ない分は自己負担
専門書・文献複写費年1〜3万円程度電子書籍含む

これらの費用は指導教員や研究室の予算でカバーされることもありますが、全額が補助される保証はありません。特に国際学会への参加は渡航費・宿泊費を含めると10万円を超えるケースも珍しくなく、修士2年間の在籍中に複数回参加するとまとまった出費になります。

対策は、入学直後に指導教員または研究室の先輩に「自己負担になる費用の種類と目安額」を確認することです。研究活動関連の費用を月割りに換算して生活費の試算に加えておくと、奨学金の月額が足りなくなる事態を防げます。

返済シミュレーションを先送りにするケース

「返済は卒業してから考えればいい」と思って奨学金の月額を決めてしまうのは、後から後悔しやすいパターンです。借入時点では総返済額のイメージが湧きにくいため、毎月の返済額が実際の生活に与える影響を実感できないまま申請してしまいます。

失敗の流れは次のようになります。

  • 在学中は「必要そうな金額」で申請し、返済の試算はしない
  • 卒業・就職後、初任給の手取りが想定より低いことに気づく
  • 毎月の返済額が家賃・食費・交通費と競合し始める
  • 繰り上げ返済の余力がなく、20年近い返済期間が確定する

特に初任給の手取りは総支給額から所得税・住民税・社会保険料が差し引かれるため、額面より2〜4万円程度低くなります。「月収22万円だから余裕がある」と思っていても、手取りは18〜19万円台になるケースが多く、ここで計算が狂います。

対策として、申請前にJASSOの返済シミュレーションツール(https://simulation.sas.jasso.go.jp/simulation/)を必ず使いましょう。借入月額・借入期間・利率を入力すると、卒業後の月額返済額と返済完了時期を試算できます。

JASSOの「進学資金シミュレーター」では収入・支出・奨学金額を総合的に入力して必要額の過不足も確認できます。

以下に、返済シミュレーションを事前に行う場合と先送りにする場合の違いをまとめます。

比較項目事前にシミュレーション先送りにする
借入月額の根拠返済可能額から逆算感覚または満額
借入総額の認識申請前に把握卒業後に初めて実感
返済開始時の驚きほぼなし「こんなに多いのか」となりやすい
対応の選択肢申請前に月額を調整できる借入後は総額を減らせない

シミュレーションは10〜15分程度で完了します。借入額を確定する前に必ず実施しましょう。

まとめ:奨学金をいくら借りるのがベストかは必要額から逆算して決めよう

奨学金をいくら借りるのがベストかは、「必要そうな金額」ではなく「返済可能額から逆算した必要最小限の額」で決めることが大切です。奨学金の平均月額や平均借入総額を参考にしながらも、自分の収支と卒業後の返済能力をセットで考えることが、後悔しない借入額を決める出発点になります。

本記事のポイント

  • 適正額の目安は月手取りの10%以内。修士2年で第二種を借りる場合、手取り20万円なら月額2万円以内が返済の安全ラインになる
  • 借入額の計算は①在学中の費用を洗い出す→②TA・RA・アルバイトなどの収入源をまとめる→③不足分に上限チェックの順で進める
  • 満額借入・研究費の見落とし・返済シミュレーションの先送りが三大失敗パターン。申請前にJASSOのシミュレーターで月額返済額を必ず確認する

奨学金の借入額を事前に正しく設定しておくことで、卒業後の返済が家計を圧迫するリスクを大幅に下げられます。月手取りの10%以内という目安と、在学費用の逆算ステップを使えば、2026年現在でも必要最小限の額を自分で算出できます。

奨学金の借入額について疑問や不安が残る場合は、お気軽にお問い合わせいただくか、詳細な資料をご請求ください。

奨学金 いくら借りるのがベストに関するよくある質問

参考文献

  1. 第一種奨学金の貸与月額 | JASSO
  2. 第二種奨学金の貸与月額 | JASSO
  3. 奨学金貸与・返還シミュレーション | JASSO

執筆者

Daigakukan Renkei 編集部
Daigakukan Renkei 編集部

編集部

大学院生のための総合情報メディア「Daigakukan Renkei」編集部。元大学院生の運営者を中心に、自身のリアルな経験と最新のデータに基づき、研究、キャリア、生活、メンタルヘルスに役立つ情報をわかりやすくお届けします。

監修者

Daigakukan Renkei リサーチチーム
Daigakukan Renkei リサーチチーム

リサーチチーム

「Daigakukan Renkei」に掲載される記事の事実確認とデータ収集を担う専門チームです。各種官公庁の統計、学術動向、奨学金や就職市場の最新データを日々調査・分析しています。客観的かつ信頼性の高い一次情報に基づいたコンテンツ監修を行っています。

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