給付型奨学金とは?もらえる条件と親の年収を2026年版で解説
この記事のポイント
給付型奨学金は返済不要の国の支援制度で、家計基準(世帯年収600万円以下が目安)と学修意欲の基準を満たす学生が対象。予約採用・在学採用・家計急変採用の3ルートがあり、採用後は年1回の成績審査で廃止リスクがある点に注意が必要。
「給付型奨学金って自分の家庭でももらえるの?条件や申し込み方法がよくわからなくて不安…」
こうした疑問に答えます。
本記事の内容
- 給付型奨学金の仕組みともらえる条件の解説
- 申し込み方法と採用されるためのポイント
- デメリットと採用されない場合の対策
給付型奨学金は返済不要で、親の年収や家庭の状況によって受給できる可能性があります。この記事では母子家庭などの特定の家庭環境での優遇や複数の奨学金との組み合わせについても詳しく解説しています。ぜひ最後まで読み進めてください。
給付型奨学金とは何か
給付型奨学金とは、卒業後の返済が一切不要な奨学金制度のことです。経済的な理由で進学を断念しないよう、国や民間団体が資金を支給します。
2020年4月にスタートした「高等教育の修学支援新制度」を中心に、年々対象範囲が広がっています。
返済不要の奨学金の仕組み
給付型奨学金の最大の特徴は、受け取った金額を返す必要がない点です。通常の奨学金(貸与型)と異なり、卒業後に返済の負担がありません。
仕組みとしては、主に以下の2つがセットで支給されます。
- 授業料・入学金の免除または減額
- 生活費として毎月支給される給付奨学金
JASSO(日本学生支援機構)が運営する制度では、世帯収入と学修意欲の2つの基準を満たすことが求められます。成績だけで判定するのではなく、「将来社会で自立し活躍する目標を持つ意欲」があるかどうかも審査の対象です。
支給額は在学する学校の種類や自宅通学・自宅外通学の別によって異なります。2026年時点では、自宅外通学の私立大学生が第一区分(住民税非課税世帯)に該当する場合、月額75,800円の給付を受けられます。
貸与型奨学金との違い
給付型と貸与型の最も大きな違いは「返済の有無」です。貸与型は卒業後に返済が必要ですが、給付型は返済不要で受け取れます。
| 項目 | 給付型 | 貸与型(第一種) | 貸与型(第二種) |
|---|---|---|---|
| 返済 | 不要 | 必要(無利子) | 必要(有利子) |
| 家計基準 | 厳しい | やや厳しい | 比較的緩やか |
| 学力基準 | 学修意欲重視 | 一定の基準あり | 一定の基準あり |
| 支給方法 | 授業料減免+月額支給 | 月額貸与 | 月額貸与 |
給付型は家計基準がより厳しく設定されている一方、返済リスクがないため、採用された場合の経済的メリットは非常に大きくなります。給付型奨学金に採用されると、第一種奨学金(無利子貸与)と組み合わせて受け取ることも可能ですが、貸与型を併用する際は奨学金の保証人の手続きや減額調整に注意が必要です。
給付型奨学金の主な種類
給付型奨学金は、提供主体によっていくつかの種類に分けられます。
- JASSO(日本学生支援機構)の給付奨学金:高等教育の修学支援新制度に基づく国の制度。対象は大学・短期大学・高等専門学校・専門学校。
- 大学独自の給付型奨学金:各大学が設けている制度で、学力優秀者や特定の条件を満たす学生を対象とすることが多い。
- 地方自治体による給付型奨学金:都道府県や市区町村が地元出身者や地元進学者を対象に実施している。
- 民間団体・財団による給付型奨学金:キーエンス奨学金(キーエンス財団)や あしなが育英会など、企業や財団が独自に支給する制度。
JASSOの制度は利用者が最も多く、条件に合えば真っ先に検討すべき制度です。大学独自・自治体・民間の給付型奨学金はJASSOと並行して申請できるケースも多くあります。
自分の状況に合った複数の制度を組み合わせることで、経済的支援を最大限に活用できます。
給付型奨学金をもらえる条件
給付型奨学金を受給するには、家計基準と学力基準の両方を満たす必要があります。日本学生支援機構(JASSO)の制度では、これらの基準を段階的に審査して支援区分が決まる仕組みのため、条件を事前に確認しておくことが重要です。
家計に関する基準(親の年収の目安)
給付型奨学金の家計基準は「支援区分」によって分類されています。2026年時点では第1区分から第4区分まで設けられており、区分が上がるほど支援額が下がります。
各区分の年収目安(両親・本人・中学生の弟妹1人の4人家族の場合)は以下のとおりです。
| 支援区分 | 年収目安の上限 | 支援額 |
|---|---|---|
| 第1区分 | 約270万円以下 | 満額 |
| 第2区分 | 約300万円以下 | 満額の3分の2 |
| 第3区分 | 約380万円以下 | 満額の3分の1 |
| 第4区分 | 約600万円以下 | 満額の4分の1 |
家族の人数や構成によって年収の目安は変わります。母子家庭・ひとり親世帯の場合、寡婦控除等が適用されるため、同じ年収でも区分が上がりやすい傾向があります。
収入基準のほかに、学生本人と生計維持者の資産合計が5,000万円未満であることも必要です。現金・預貯金・有価証券などが対象に含まれます。
学力・学修意欲に関する基準
学力基準は、高校在学中の評定平均と、大学での学修意欲の2つで判定されます。
予約採用(高校在学中の申込)では、以下のいずれかを満たす必要があります。
- 高校の全履修科目の評定平均が5段階評価で3.5以上
- 社会で自立・活躍する目標を持ち、進学先での学修意欲を「学修計画書」などで証明できる
在学採用(大学入学後の申込)では、評定平均3.5以上に加え、入学試験の成績が入学者の上位2分の1以内であることも条件として使えます。
評定平均が3.5未満でも、学修意欲を示す書類を提出することで受給資格を得られる場合があります。成績だけを理由に諦める必要はありません。
その他の要件と注意点
学力・家計基準を満たしても、以下の要件が満たされない場合は受給できません。
- 国内の大学・短大・高専・専門学校(文部科学省が認定した機関)に在籍していること
- 日本国籍または永住許可を受けていること(外国籍の場合は特定の在留資格が必要)
- 生活保護世帯、またはそれに準じる経済的困窮状態にある場合は、第1区分として特別に認定されるケースもあります
進学後に成績が著しく低下した場合、支援が停止・廃止となるリスクもあります。受給後も一定の学修状況を維持することが求められます。
申込前に「進学資金シミュレーター」(JASSO公式サイト)を活用すると、自分の家庭状況での支援区分を事前に確認できます。
給付型奨学金の申し込み方法
給付型奨学金の申し込みには、大きく3つのルートがあります。進学前に申し込む「予約採用」、大学入学後に申し込む「在学採用」、突発的な家計変動に対応する「家計急変採用」です。それぞれのタイミングや手順を正確に把握しておくことが大切です。
| 採用区分 | 申込タイミング | 窓口 |
|---|---|---|
| 予約採用 | 高校在学中(進学前) | 在学・卒業高校 |
| 在学採用 | 大学・専門学校入学後 | 進学先の奨学金窓口 |
| 家計急変採用 | 家計急変の事由発生後随時 | 在学大学の奨学金窓口 |
予約採用で申し込む
予約採用は、高校在学中に進学後の給付型奨学金を申し込む方法です。高校3年生の春から夏にかけて「春募集」が行われ、多くの学校では4月〜7月ごろに書類配布や説明会が実施されます。
学校によっては10月前後に「秋募集」を設けている場合もあります。申し込みの機会を確認するために、早めに担当窓口へ問い合わせましょう。
申し込みの流れは次のとおりです。
- 在学中の高校の奨学金担当窓口に申し出る
- 申込関係書類を受け取り、必要事項を記入する
- 定められた期限までに書類を高校へ提出する
- 高校を通じてJASSOへ推薦・申請が行われる
- 採用候補者として決定された場合、進学後に手続きを完了させる
予約採用のメリットは、進学前から奨学金の見通しを立てられる点です。入学後の奨学金の振込日も事前にわかるため、入学初年度の学費準備において家計の計画を立てやすくなります。
在学採用で申し込む
在学採用は、大学・短期大学・専門学校などに入学した後に申し込む方法です。各学校が定めた募集期間中に、進学先の奨学金窓口へ申し出ることで手続きが始まります。
申し込みの流れは次のとおりです。
- 在学している学校の奨学金窓口に申し出る
- 申込関係書類と「奨学金確認書兼地方税同意書」を受け取る
- スカラネット(インターネット申込システム)で必要事項を入力・送信する(「申込ID」と「初期パスワード」が必要)
- 定められた期限までに必要書類を在学校へ提出する
- 学校を通じてJASSOへ推薦・申請が行われ、採用結果が通知される
在学採用の申込みは、学校ごとに時期や締め切りが異なります。進学後は速やかに奨学金窓口に確認することが大切です。
家計急変採用で申し込む
家計急変採用は、保護者の失業・病気・死亡など突発的な事情で家庭収入が急減した場合に、年間を通じて随時申し込める制度です。通常の採用スケジュールとは異なり、急変の事由が生じてから原則3か月以内に申請する必要があります。
対象となる主な家計急変事由は次のとおりです。
- 保護者の失業・廃業
- 保護者の病気・負傷による収入の減少
- 保護者の死亡・離婚
- 自然災害による家屋の損壊や農作物の被害
申し込みの流れは次のとおりです。
- 在学している学校の奨学金窓口に家計急変の事情を申し出る
- 必要書類(家計急変を証明する書類など)を準備する
- スカラネットでインターネット申込みを行う
- 学校がJASSOへ推薦し、採用審査が行われる
- 採用後は3か月ごとに収入状況が確認され、支援区分の見直しが実施される
給付型奨学金の採用後は、成績や修学状況の確認(適格認定)が定期的に行われます。給付型は貸与型で必要な奨学金継続願の提出は不要ですが、採用後の要件や手続きもあわせて確認しておきましょう。
給付型奨学金のデメリットと注意点
給付型奨学金は返済不要という大きなメリットがある一方、継続して受け取るためには条件を満たし続ける必要があります。事前にデメリットや注意点を把握しておくことで、採用後のトラブルを防げます。
成績悪化や退学時のリスク
給付型奨学金には「適格認定」という継続審査があり、在学中は毎年学業状況が確認されます。以下のいずれかに該当すると「警告」や「廃止」の対象になります。
- 修得単位数が標準単位数の7割以下
- GPA(成績平均値)等が下位4分の1に相当する成績
- 出席率8割以下など、学修意欲が低いと大学が判断した場合
「警告」を2回連続して受けると、給付型奨学金は廃止となります。退学した場合も即座に廃止される点に注意が必要です。
給付型であっても、不正受給や著しい学業不振が認められた場合は返還命令が出ることがあり、貸与型を併用して返済が滞った場合は奨学金の自己破産に至るリスクもあります。成績に不安を感じたら、早めに大学の学生支援窓口に相談することが廃止を避ける最善策です。
他の奨学金との併用制限
給付型奨学金を受給中は、他の奨学金との併用にルールがあります。
| 組み合わせ | 併用の可否 |
|---|---|
| 給付型 + 第一種奨学金(無利子貸与) | 可(ただし貸与月額が減額される) |
| 給付型 + 第二種奨学金(有利子貸与) | 可 |
| 給付型(JASSO) + 民間・地方の給付型奨学金 | 一般的に可(相手方の規定による) |
| 給付型(JASSO) + 他団体の給付型奨学金 | 相手方の規定による |
JASSOの給付型奨学金と第一種奨学金を併用する場合、無利子のため奨学金の金利は発生しませんが、第一種奨学金の月額が区分に応じて減額調整されます。第一区分(住民税非課税世帯)では第一種奨学金が全額ゼロになるケースもある点に注意が必要です。
他の奨学金と組み合わせる際は、双方の実施団体に確認してから申し込みましょう。
もらえる確率と採用されない場合の対策
JASSOの給付型奨学金は、収入基準と学力基準を両方満たしていれば採用される仕組みのため、厳密な「競争倍率」はありません。ただし、学校側の推薦枠や申し込みのタイミングによっては採用が見送られることもあります。
採用されなかった場合の代替策は以下のとおりです。
- 在学採用に切り替えて再申請する
- 地方自治体や民間団体が提供する給付型奨学金を探す
- 第一種奨学金(無利子)への申し込みを検討する
- 大学独自の授業料減免・免除制度を確認する
母子家庭など特定の家庭環境では、自治体独自の給付型奨学金や児童扶養手当との組み合わせで支援を手厚くできる場合もあります。採用されない状況でもあきらめず、複数の制度を組み合わせて検討することが重要です。
まとめ:給付型奨学金は条件を把握して早めに申し込もう
給付型奨学金は返済不要で大学進学の経済的負担を軽減できる制度であり、条件を正しく理解して早めに動くことが採用への近道です。本記事では、制度の仕組みから申し込み方法・デメリットまでを一通り解説しました。
本記事のポイントをおさらいします。
本記事のポイント
- 給付型奨学金は返済不要で、親の年収や学修意欲などの条件を満たせば申請できる
- 申し込みには予約採用・在学採用・家計急変採用の3つのルートがあり、高校3年生は予約採用が最優先
- 成績悪化時の廃止リスクや他奨学金との併用制限を把握したうえで申請・維持計画を立てることが大切
給付型奨学金を検討する際には、以下の点を特に意識して準備を進めましょう。
- 家計基準(第一区分〜第四区分)を事前に確認し、自分の世帯年収がどの区分に当てはまるかを把握する
- 高校3年生は予約採用の時期を逃さないよう、高校の担当窓口へ早めに相談する
- 在学中は成績維持が継続受給の条件になるため、学修状況の管理も欠かさない
- 母子家庭など特定の家庭環境では優遇される場合があるため、制度の詳細を確認する
- 採用されない場合に備えて、貸与型奨学金や地方自治体・民間団体の給付奨学金も並行して調べておく
給付型奨学金の申し込みタイプと特徴を整理すると、次のとおりです。
| 申し込みタイプ | 主な対象 | 申し込み時期 |
|---|---|---|
| 予約採用 | 進学前(高校在学中)の生徒 | 高校3年生の4〜5月頃 |
| 在学採用 | 大学・短大・専門学校在学生 | 大学入学後の春・秋 |
| 家計急変採用 | 家計が急変した在学生 | 随時(急変後できる限り早く) |
申し込みタイプによって申請時期や手続き先が異なります。自分の状況に合ったルートを選ぶことが重要です。
給付型奨学金の条件・区分・申請タイミングをあらかじめ把握しておくことで、採用漏れや手続き遅延を防げます。特に第一区分(最低所得水準)に該当する家庭は受給額が最大になるため、早期確認が欠かせません。
大学進学の費用面で悩んでいる方は、ぜひ本記事を参考に奨学金の選択肢を整理してみてください。詳しい申請手続きや個別の状況については、以下よりお気軽にお問い合わせください。
給付型奨学金に関するよくある質問
参考文献
執筆者
編集部
大学院生のための総合情報メディア「Daigakukan Renkei」編集部。元大学院生の運営者を中心に、自身のリアルな経験と最新のデータに基づき、研究、キャリア、生活、メンタルヘルスに役立つ情報をわかりやすくお届けします。
監修者
リサーチチーム
「Daigakukan Renkei」に掲載される記事の事実確認とデータ収集を担う専門チームです。各種官公庁の統計、学術動向、奨学金や就職市場の最新データを日々調査・分析しています。客観的かつ信頼性の高い一次情報に基づいたコンテンツ監修を行っています。
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