奨学金の金利は上限年3%【2026年の推移と利率方式の選び方】
この記事のポイント
奨学金の金利は第二種奨学金のみに適用され、上限は年3%。2026年時点の利率固定方式は2.5%前後に上昇しており、利率方式の選択と繰上返済活用が返済総額の削減につながる。
「奨学金の金利って今どれくらいなの?利率固定方式と利率見直し方式のどちらを選べばいいか全然わからないし、金利が上がっているって聞いて返済総額が心配になってきた」
こうした疑問に答えます。
本記事の内容
- 奨学金の金利の仕組みと2026年時点の水準
- 利率固定方式と利率見直し方式の違いと選び方
- 金利を踏まえた返済シミュレーションと節約のポイント
奨学金の金利は第二種奨学金のみに適用され、上限は年3%に定められています。
金利の仕組みと現在の水準を正しく把握すれば、利率方式の選択や繰上返済のタイミングを判断しやすくなります。この記事では、奨学金の金利推移から返済への影響まで具体的に解説しているので、ぜひ最後まで読んでみてください。
奨学金の金利の仕組みと基本知識
奨学金の金利について正しく理解しておくことは、返済計画を立てるうえで欠かせません。
まず押さえておきたいのは、すべての奨学金に金利がかかるわけではないという点です。JASSOの貸与奨学金や返還不要のキーエンス奨学金など、制度によって仕組みが大きく異なります。
金利がかかるのは第二種奨学金のみ
JASSOの奨学金は、大きく第一種と第二種に分かれています。
| 種別 | 金利 | 対象 |
|---|---|---|
| 第一種奨学金 | 無利子 | 特に優れた学生で経済的必要性が高い人 |
| 第二種奨学金 | 有利子(上限年3.0%) | 第一種より広い基準で貸与 |
第二種奨学金を借りた場合、在学中は毎年奨学金継続願を提出する必要がありますが、利子がかかることはありません。
利子が発生するのは、卒業などで貸与が終了した時点からです。在学期間中は毎月の奨学金の振込日から元金のみが積み上がるため、卒業後の返済開始と同時に利子計算がスタートします。
金利はいつどのように決まるか
第二種奨学金の利率は、貸与が終了した月(通常は卒業月)の時点で確定します。その利率は、財政融資資金の金利を基準にJASSOが算定する仕組みです。
利率の算定には2つの方式があり、奨学金の保証人の選択とともに申込時に決定します。
- 利率固定方式:貸与終了時に決まった利率が返済完了まで変わらない
- 利率見直し方式:貸与終了時の利率をおおむね5年ごとに見直す
どちらの方式を選んでも、利率の上限は年3.0%と法令で定められています。
上限金利と増額分の利率上乗せ
基本月額に係る利率は年3.0%が上限です。さらに、増額貸与(月額を上乗せして借りた部分)については、原則として基本月額の利率に0.2%を上乗せした利率が適用されます。
たとえば基本月額の利率が2.5%であれば、増額分には2.7%の利率がかかります。増額貸与を利用した場合は、この上乗せ分も含めて総返済額を試算することが重要です。
教育ローンの金利との違い
奨学金と並んでよく比較されるのが、教育ローンです。両者の主な違いを以下の表で確認可能です。
| 比較項目 | 第二種奨学金 | 教育ローン(一般例) |
|---|---|---|
| 返済義務者 | 学生本人 | 父母など保護者 |
| 金利水準 | 上限年3.0%(2026年時点で約2.5%前後) | 1%台後半〜2%前後(固定が多い) |
| 審査対象 | 学生の学力・家計基準 | 保護者の信用力・収入 |
| 在学中の利子 | 発生しない | 発生する(機関によって異なる) |
金利の水準だけを比べると、現在(2026年)は第二種奨学金と教育ローンが近似しています。ただし在学中の利子の有無や、返済義務者の違いという点で、実質的な負担感は大きく変わります。奨学金は学生本人が返済する前提のため、就職後の収入計画と照らし合わせて選ぶことが大切です。
奨学金の金利推移と2026年時点の水準
奨学金の金利は長期にわたって低水準が続いていましたが、日本銀行の金融政策転換を機に急速な上昇局面に入っています。現在の利率水準は借り入れ時の想定と大きく異なる可能性があるため、最新の数字を把握しておくことが重要です。
低金利時代から上昇局面への変化
2010年代から2020年代前半にかけて、第二種奨学金の利率は非常に低い水準で推移していました。日本銀行がマイナス金利政策を継続していた時期には、利率見直し方式の利率が0.002〜0.005%程度という記録的な低水準を記録しています。
2022年を境に状況が変わり始めました。日本銀行がマイナス金利政策を解除し、政策金利を引き上げる方向に転換したことで、長期金利が上昇し、奨学金の貸与利率もこれに連動して上昇しています。
2026年の貸与利率の実績
JASSO公式サイトに公表されている貸与利率の推移によると、2026年時点の数値は以下のとおりです。
| 時期 | 利率固定方式 | 利率見直し方式 |
|---|---|---|
| 2022年3月(貸与終了分) | 約0.369% | 約0.002% |
| 2024年1月(貸与終了分) | 約1.440% | 約0.700% |
| 2026年1月(貸与終了分) | 約2.512% | 約1.700% |
利率固定方式では、2022年3月の約0.369%から2026年1月には約2.512%まで上昇しており、約4年間で7倍近い水準になっています。利率見直し方式でも、2020年代初頭の0.002〜0.005%という超低水準から比較すると250倍以上に達しています。いずれの方式も、法定上限である年3.0%に近づきつつある状況です。
金利上昇が返済総額に与える影響
金利の上昇は、月々の返済額だけでなく返済総額にも影響するため、奨学金をいくら借りるのがベストか事前にシミュレーションしておくことが重要です。仮に240万円を20年間(240回払い)で返済する場合の試算は以下のとおりです。
| 利率 | 月々の返済額(概算) | 総返済額(概算) | 利息総額(概算) |
|---|---|---|---|
| 0.3% | 約10,037円 | 約2,409,000円 | 約9,000円 |
| 1.5% | 約11,551円 | 約2,772,000円 | 約372,000円 |
| 2.5% | 約12,697円 | 約3,047,000円 | 約647,000円 |
| 3.0% | 約13,289円 | 約3,189,000円 | 約789,000円 |
利率が0.3%から2.5%になると、利息の総負担は約9,000円から約647,000円へと大幅に増加します。借入額が大きくなるほど、あるいは返済期間が長くなるほど、この差は一層広がります。金利上昇が続く局面では、返済シミュレーションを改めて確認し、将来的に奨学金の自己破産などの事態を避けるためにも繰上返済を含めた対策を早めに検討することが大切です。
利率固定方式と利率見直し方式の選び方
第二種奨学金を借りる際、利率の算定方法として「利率固定方式」と「利率見直し方式」の2種類から選べます。どちらを選ぶかは、返済総額を大きく左右する重要な判断です。
利率固定方式の仕組みとメリット
利率固定方式は、貸与終了時(卒業時など)に決定した利率が、返済完了まで変わらない方式です。
- 返済期間を通じて利率が一定のため、返済計画を立てやすい
- 市場金利が上昇しても、返済額が増えない
- 毎月の支払い金額を確定して家計管理をしたい方に向いている
一方で、市場金利が下落しても利率は変わらないため、低金利局面では割高になるケースがあります。2026年時点では固定方式の利率が2.5%前後まで上昇しており、将来の金利低下を期待できる状況では相対的にコストが高い選択肢になります。
利率見直し方式の仕組みとメリット
利率見直し方式は、貸与終了時に決定した利率をおおむね5年ごとに市場金利に応じて見直す方式です。
- 金利が低い時期は固定方式より低い利率で返済できる
- 2026年時点では見直し方式の利率は1.6%前後と、固定方式より低い水準にある
- 借入当初の返済負担を抑えたい方に向いている
デメリットは、市場金利が上昇した場合に5年ごとの見直しで利率も上がることです。返済額が変動するため、長期の返済計画が立てにくい側面があります。
自分に合う利率方式を選ぶ判断基準
どちらが有利かは将来の金利動向次第であり、一概には言えません。選び方の軸は「将来の金利変動リスクをどう考えるか」と「家計管理のしやすさ」の2点です。
| 比較項目 | 利率固定方式 | 利率見直し方式 |
|---|---|---|
| 利率変動 | なし(卒業時に確定) | おおむね5年ごとに変動 |
| 2026年時点の目安利率 | 約2.5% | 約1.6% |
| 返済計画の立てやすさ | 立てやすい | 立てにくい |
| 金利上昇時のリスク | 低い(変動しない) | 高い(利率が上がる) |
| 金利低下時のメリット | なし | あり(利率が下がる) |
| 向いているケース | 安定志向・長期返済 | 短期完済予定・低利率優先 |
繰上返済を積極的に行う予定がある方は、当初の利率が低い見直し方式を選んで早期完済を目指す方法もあります。逆に、20年超の長期返済を見込んでいる場合は、固定方式のほうが金利上昇リスクを回避できます。
金利上昇局面での選び方のポイント
日本銀行が利上げ基調にある2026年の状況では、今後も市場金利が上昇する可能性があります。
金利上昇局面で検討すべきポイントは次のとおりです。
- 見直し方式を選んでいる場合、5年後の次の見直しタイミングで利率が上がるリスクがある
- 固定方式への切り替えは、貸与終了前の一定期間に限って変更できる
- JASSO公式サイトで最新の貸与利率を定期的に確認し、変更の余地がある時期に判断する
JASSOの制度上、利率の算定方法は貸与終了が確定するまでは変更可能です。卒業が近づいた段階で最新の利率水準を確認したうえで、最終的な方式を選ぶことが、実質的なコスト削減につながります。
奨学金の金利を踏まえた返済の注意点
借りた総額だけでなく、金利がつくことで返済総額がどう変わるかを把握したうえで返済計画を立てることが重要です。返済中に利用できる制度や繰上返済の仕組みを知っておくと、金利負担を抑えられます。
返済シミュレーションで総返済額を確認する
奨学金の返済では、借りた元金に利子が加わった総返済額を事前に把握することが大切です。JASSOの公式サイトでは「奨学金貸与・返還シミュレーション」を無料で提供しており、貸与総額・金利・返済期間を入力することで毎月の返済額と総返済額を試算できます。
たとえば、200万円を20年で返済する場合の総利息の差は以下のとおりです。
| 貸与総額 | 金利 | 月々の返済額(目安) | 総利息(目安) |
|---|---|---|---|
| 200万円 | 0.5% | 約8,800円 | 約11万円 |
| 200万円 | 1.5% | 約9,700円 | 約33万円 |
| 200万円 | 2.5% | 約10,600円 | 約55万円 |
| 200万円 | 3.0% | 約11,100円 | 約66万円 |
金利が0.5%から3.0%に上昇すると、総利息の差は約55万円にのぼります。2026年時点で固定方式の利率が2%台後半で推移していることを踏まえると、返済開始前にシミュレーションで実態を確認しておく必要があります。
繰上返済で金利負担を減らす方法
繰上返済とは、通常の返済スケジュールより前倒しで元金を返す方法です。元金が早く減るため、残った元金にかかる利子の総額を抑えられます。
JASSOの繰上返済には「一部繰上」と「全額繰上」の2種類があります。
- 一部繰上:指定した返還回数分をまとめて前払いする方法。毎月の返済額単位での指定となるため、月々2万5,000円の場合は2万5,000円の倍数での繰上が必要です。
- 全額繰上:残高をすべて一括で返済する方法。返還完了と同時に利子の発生が止まり、金利負担を最大限に削減できます。
繰上返済を検討する際は、手元の現金が大幅に減ることへの注意が必要です。急な支出に対応できなくなるリスクがあるため、生活費の数か月分を残したうえで余剰分を繰上に充てる計画が望ましいです。
返済が苦しいときの救済制度
収入の減少や病気などで返済が困難になった場合、JASSOには複数の救済制度があります。返済を滞納してしまうと信用情報に影響する場合があるため、苦しいと感じた段階で早めの申請が大切です。
主な制度を以下にまとめます。
| 制度名 | 内容 | 期間 |
|---|---|---|
| 減額返還制度 | 月々の返還額を1/2・1/3・1/4・2/3に減額できる | 1申請あたり12か月、最大15年(180か月)まで |
| 返還期限猶予制度 | 一定期間の返済を猶予できる | 最大通算10年まで |
| 所得連動返還方式 | 前年の所得に応じて返還額が自動的に変わる仕組み(2017年4月以降の貸与分が対象) | 返済期間を通じて適用 |
2026年4月からは、減額返還や返還期限猶予のオンライン申請が可能になりました。マイナンバーをJASSOに提出済みの場合、書類の郵送不要でウェブから申請を完結できます。
減額返還制度の対象となる収入上限は年収400万円以下(または調整後所得300万円以下)に拡大されており、以前より利用しやすい状況です。
まとめ:奨学金の金利は上限年3%で利率方式の選択が返済額を左右する
奨学金の金利は第二種奨学金のみに適用され、上限は年3%と法律で定められています。第一種奨学金は無利子のため、借入前に種別を確認することが大切です。
2026年時点では金利上昇局面への移行が進んでおり、固定方式の利率は2.5%前後まで上昇しています。利率の現在の水準を把握したうえで、返済プランを見直すタイミングといえます。
本記事でカバーした主な内容は次の通りです。
- 第二種奨学金の金利の仕組みと上限年3%のルール
- 2026年時点における貸与利率の実績と金利上昇局面への変化
- 利率固定方式と利率見直し方式の特徴と選び方の判断基準
- 繰上返済で金利負担を減らす具体的な方法
- 減額返還制度や猶予制度などJASSOの救済制度の活用方法
利率方式の選択は借入時に一度しか行えないため、慎重な判断が求められます。金利上昇局面では利率固定方式を選ぶことで、将来の金利変動リスクを回避できます。
一方で返済期間が比較的短い場合は、利率見直し方式のほうが結果的にお得になるケースもあります。返済シミュレーションで総返済額を比較したうえで選択することをおすすめします。
返済が苦しいと感じた場合は、JASSOの救済制度を早めに活用するのが賢明です。減額返還や猶予制度を使うことで、生活を守りながら返済を続けられます。
本記事のポイントをおさらいします。
本記事のポイント
- 奨学金の金利は第二種奨学金にのみ適用され、上限は年3%。2026年時点では依然として低水準だが、金利上昇局面への移行に注意が必要
- 利率固定方式は返済総額が確定するため安心感があり、利率見直し方式は短期返済を予定する人に向いている。選択は借入時に行うため慎重に検討することが大切
- 返済が苦しくなった場合は、減額返還制度や返還期限猶予制度などJASSOの救済制度を活用することで、生活を守りながら返済を続けられる
利率方式の選択や繰上返済の活用によって、奨学金の金利負担を大きく抑えられます。返済シミュレーションで総返済額を事前に確認しておくことで、無理のない返済計画が立てられます。
奨学金の返済や金利に関してご不安がある場合は、ぜひお気軽にご相談ください。専門スタッフが状況に合わせた返済プランのアドバイスをいたします。
奨学金の金利に関するよくある質問
参考文献
執筆者
編集部
大学院生のための総合情報メディア「Daigakukan Renkei」編集部。元大学院生の運営者を中心に、自身のリアルな経験と最新のデータに基づき、研究、キャリア、生活、メンタルヘルスに役立つ情報をわかりやすくお届けします。
監修者
リサーチチーム
「Daigakukan Renkei」に掲載される記事の事実確認とデータ収集を担う専門チームです。各種官公庁の統計、学術動向、奨学金や就職市場の最新データを日々調査・分析しています。客観的かつ信頼性の高い一次情報に基づいたコンテンツ監修を行っています。
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