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理系大学院の進学率は何割?分野別・大学別の最新データを解説

大学院生

この記事のポイント

理系大学院の進学率は文系を大きく上回り、理学約44%・工学約39%・農学約27%と分野で差があります。学校基本調査をもとに分野別・大学別の数字と進路への活かし方を解説します。

理系大学院の進学率は何割?分野別・大学別の最新データを解説

「理系大学院の進学率って実際どのくらいなんだろう。文系との差や分野別の数字を知って、自分が大学院に進むべきか学部で就職すべきか判断したい」

こうした疑問に答えます。

本記事の内容

  • 全国平均と文系との進学率の差
  • 理学・工学・農学など分野別の進学率
  • 進学率データの進路選択への活用法

理系大学院の進学率は文部科学省の学校基本調査で確認でき、全国平均では文系を大きく上回り、分野や大学によって幅があります。

進学率という客観的な数字を知れば、周囲と比べて出遅れていないかという不安も解消し、自分の進路を落ち着いて判断できます。最新データの読み方まで具体的に解説しますので、ぜひ読み進めてください。

理系大学院の進学率は全国平均でどのくらいか

理系大学院の進学率は全国平均よりも大幅に高く、分野によっては学部卒業者の4割以上が進学します。文部科学省「学校基本調査」によると、令和7年度(2026年公表値)の学部卒業者全体の大学院進学率は12.7%にとどまりますが、理学や工学では3倍以上に達します。

数字の上でも、理系では大学院進学が標準的な進路の一つになっているといえるでしょう。

学校基本調査でわかる理系の進学率

理系の大学院進学率を正確に知るなら、文部科学省「学校基本調査」が最も信頼できる出典です。学校基本調査は全国の大学を対象に毎年5月1日時点で実施される国の基幹統計で、卒業者数や進学者数から分野別の進学率を算出できます。

SNSや個人ブログの数字と違い、出典が明確で改ざんの余地がありません。

直近の集計では、学部卒業者全体の大学院進学率は約12.7%です。一方で理系の主要分野では次のように数値が大きく異なります。

  • 理学:約44%
  • 工学:約39%
  • 農学:約27%

理系全体の進学率は全国平均を大きく上回る水準にあります。進学率という言葉は、ここでは「学部卒業者のうち大学院へ進んだ人の割合」を指します。

文系と比べた理系大学院進学率の差

理系と文系では大学院進学率に4倍から10倍以上の開きがあります。理由は、理系では研究職や技術職に就くために修士号が事実上の前提となる職種が多いのに対し、文系では学部卒での就職が一般的だからです。

下の表は学校基本調査をもとにした分野別の進学率の比較です。

分野大学院進学率の目安
理学約44%
工学約39%
農学約27%
人文科学約4%
社会科学約3%

理学では卒業生のおよそ2人に1人が進学するのに対し、社会科学では30人に1人ほどです。同じ大学に通っていても、学部によって進路の常識がまったく異なります。

理系大学院への進学は、文系と比べて「珍しい選択」ではないと理解しておくとよいでしょう。

理系大学院進学率の年次推移

理系大学院の進学率は、ここ数年おおむね横ばいから微増で推移しています。学部卒業者全体の進学率を見ると、令和7年度は12.7%で、前年度から0.1ポイント上昇しました。

急増や急減はなく、安定して高い水準が続いている点が特徴です。

推移を読むときは次の視点を持つと理解しやすくなります。

  1. 全体平均は緩やかな上昇傾向にある
  2. 理系分野の高い進学率は長期的に維持されている
  3. 短期的な数ポイントの変動は景気や就職環境の影響を受けやすい

数値が年によって多少前後しても、理系で進学率が高い構造そのものは変わりません。進路を考える際は、単年の数字よりも長期的な傾向を重視するのが安全です。

国公立と私立で異なる進学率

同じ理系でも、国公立大学と私立大学では大学院進学率に明確な差があります。一般に国立大学のほうが進学率が高く、「国高私低」と呼ばれる傾向が続いています。

修士課程の入学者数で見ると、国立大学が全体の約6割を占めるという統計もあります。

設置者ごとの傾向を整理すると次のとおりです。

設置者進学率の傾向
国立高い。研究志向の学生が多く進学が標準的
公立中程度。大学や分野により幅がある
私立相対的に低い。学部卒就職を選ぶ割合が高い

背景には、国立大学に理工系の研究室が多く、推薦による内部進学の枠が整っている事情があります。ただし私立でも難関大学の理工系では進学率が高い学部もあるため、大学単位での確認が欠かせません。

志望校を選ぶ段階で、各大学が公表する進学率データを併せて見ておくと判断を誤りにくくなります。

分野別に見る理系大学院の進学率

理系とひとくくりにしても、大学院進学率は分野によって大きく開きがあります。理学のように半数近くが進学する分野もあれば、薬学のように学部の仕組み自体が進学率に影響する分野もあるのです。

文部科学省の学校基本調査(令和5年度)をもとに、主要な理系分野の進学率を整理しました。自分の志望分野が全体のどのあたりに位置するかを確認する手がかりになります。

分野大学院進学率(学士課程修了者)
理学約44%
工学約39%
農学約27%
薬学(4年制課程)進学が前提(9割前後)
薬学(6年制課程)数%にとどまる

この数字を見ると、同じ理系でも進学が「あたりまえ」の分野とそうでない分野が混在していることがわかります。以下で各分野の背景を順に見ていきましょう。

理学分野の大学院進学率

理学分野の大学院進学率は約44%と、理系のなかでも最も高い水準です。学士課程修了者のおよそ2人に1人が大学院へ進む計算になります。

理学が高い理由は、基礎研究を志向する学生が多く、学部4年間だけでは専門性を完成させにくいからです。数学・物理・化学・生物といった領域では、研究職や専門職を目指すうえで修士号がほぼ前提になります。

  • 基礎研究を深めるには修士課程が事実上の標準になっている
  • 研究室配属後に研究の面白さを知り進学を決める学生が多い
  • 教員免許や専門職を視野に入れる場合も大学院が有利に働く

そのため理学部に進む段階で、院進をある程度織り込んでおくと進路設計がぶれにくくなります。

工学分野の大学院進学率

工学分野の進学率は約39%で、理学に次ぐ高さです。進学率だけ見ると理学よりやや低いものの、卒業者数が圧倒的に多いため、進学者の絶対数は理系で最大規模になります。

工学で進学が多いのは、メーカーの研究開発職や技術職が修士修了を採用基準に置く例が目立つからです。学校推薦による就職でも、修士のほうが選択肢が広がる傾向があります。

  • 機械・電気・情報・化学工学など実装寄りの研究が修士で深まる
  • 大手メーカーの研究開発職は修士採用が主流になっている
  • 学部卒就職と比べ初任給や配属の面で差がつくことがある

工学を志すなら、就職市場の慣行も踏まえて進学を検討する価値があります。

農学分野の大学院進学率

農学分野の進学率は約27%で、理学・工学と比べるとやや控えめです。とはいえ4人に1人以上が進学しており、文系分野と比較すれば十分に高い水準といえます。

農学が理学・工学より低めなのは、学部卒で食品・農業関連企業や公務員へ就職する道が確立しているからです。一方で研究志向が強い学生は、バイオや環境関連の専門性を高めるために進学します。

  • 食品・農業・環境系の幅広い就職先が学部卒でも開けている
  • バイオテクノロジーなど先端領域では進学者が多い
  • 研究機関や公的機関を目指す場合は修士以上が有利になりやすい

志望する就職先が研究色の強い職種かどうかで、進学の必要性が変わってきます。

薬学分野の大学院進学率

薬学分野は学部の課程によって進学率が大きく異なる点に注意が必要です。薬剤師を養成する6年制課程と、研究者を育てる4年制課程が併存しているためです。

6年制課程は卒業して薬剤師国家試験に進む学生が大半で、大学院進学は数%にとどまります。一方の4年制課程は研究職を前提とした設計で、修士課程への進学率が9割前後に達することもあります。

課程主な進路大学院進学の位置づけ
6年制課程薬剤師として就職進学は少数派
4年制課程研究職・開発職進学が前提

薬学を志望する場合は、まず6年制か4年制かを見極めることが進路判断の出発点になります。

大学別の理系大学院進学率ランキング

理系の大学院進学率は、同じ理系でも大学によって大きく異なります。上位には旧帝大や東京科学大学(旧東京工業大学)など国立の研究型大学が並び、私立では東京理科大学や早慶が高い水準を示します。

ランキングは進路選択の参考になりますが、数字の前提を理解しないと読み違える点に注意が必要です。志望する大学や学科の数字を正しく読み取るための見方も押さえておきましょう。

進学率が高い国立大学の傾向

進学率が高い国立大学の代表は、理系単科の東京科学大学(旧東京工業大学)です。卒業者の約8割が大学院へ進み、東洋経済オンラインのランキングでも旧東京工業大学が首位となっています。

東京大学や京都大学も理系学部では高い進学率を保ちます。東京大学の場合、全学部平均は5割程度ですが、理学部は約88パーセント、工学部は約78パーセントと、理系に限れば大きく上がります。

国立大学が上位を占める背景には、研究設備や教員数の充実、学費の安さがあります。理学部の進学率上位20大学はほぼ国立で占められ、国立が高く私立が低い構図が定着しています。

大学区分理系学部の進学率の目安主な特徴
東京科学大学(旧東工大)約8割理系単科で院進が前提
旧帝大の理工系約7割から9割学科により上下する
地方国立大の理工系約5割から7割学部や年度で差が出る

進学率が高い私立大学の傾向

私立で進学率が際立つのは東京理科大学です。理学部や工学部では卒業生の約4割から半数が大学院へ進み、私立理系の中では群を抜いています。

早稲田大学や慶應義塾大学の理工系も高水準です。基幹理工や先進理工、慶應の理工学部では3割から4割が院へ進み、物理や化学などの基礎研究系学科では4割を超える年もあります。

一方でMARCHなどの理系学部は1割台から2割台にとどまる傾向があります。私立理系の進学率は、研究志向の強さや大学院の規模を映す目安として読み取れます。

  • 東京理科大学の理工系は約4割から半数が院進
  • 早慶の理工系は約3割から4割が院進
  • MARCHなどの理系は約1割台から2割台

大学院進学率ランキングの読み方

ランキングを正しく使うには、数字が何を母数にしているかを確認します。学部全体の平均か学科別かで進学率は大きく変わり、文系学部を含む大学全体の平均は理系の実態より低く出ます。

設置者の違いも押さえておきたい点です。国立は私立より進学率が高く出やすいため、私立志望者は私立内で比べると実態をつかみやすくなります。

注釈の見落としにも気をつけます。資料によっては大学院修了者を含む数字や、一部の学部を除いた数字が混在します。

確認する視点見るポイント
母数学部全体か学科別か、文系を含むか
設置者国立か私立か、同じ区分内で比較する
出典と注釈集計年度、対象学部、修了者を含むか

ランキングは絶対的な順位として鵜呑みにせず、自分が志望する学科の数字に絞って読むことが大切です。同じ大学でも学科ごとに進学率は変わるため、学部単位の平均だけで判断しないようにします。

理系大学院に進学すべきか判断する考え方

理系大学院の進学率は、自分が進学すべきかを考えるうえで有力な手がかりになります。ただし数字の高さだけで判断すると、進路の本質を見誤りやすくなります。

ここでは進学率という客観データを、自分の進路選択にどう結びつけるかを整理します。

進学率の高さが示す意味

進学率が高い分野は、大学院修了が一般的なキャリアパスとして定着しているサインです。理学は約44%、工学は約39%が進学する一方、農学は約27%にとどまり、分野ごとの違いがそのまま業界構造を映しています。

進学率が高い背景には、専門性を求める求人の存在があります。たとえば大手メーカーの研究開発職は、修士以上を応募条件にする企業が多く、それが進学率を押し上げる要因になっています。

逆に進学率がそれほど高くない分野では、学部卒でも専門職に就ける道が残されていると読み取れます。進学率は「その分野で院進がどれだけ標準か」を示す温度計だと考えると分かりやすいでしょう。

進学率が示す意味を整理すると、次の3点に集約できます。

  • 高い分野:院修了が前提の求人が多く、進学が標準ルートになりやすい
  • 中程度の分野:院進と学部卒就職の両方が現実的な選択肢になる
  • 低い分野:学部卒での就職が主流で、進学は専門特化の選択になる

学部卒就職と比較するときの視点

進学か就職かを比べるときは、収入とキャリアの両面で考える必要があります。金銭面では、院卒の初任給は約25.5万円で、学部卒の約22.6万円より3万円ほど高い水準にあります。

長期で見ると差はさらに広がります。大学院修了者と大学卒の生涯賃金には、試算で約5,034万円の開きがあるとされ、学費や在学2年分の機会費用を考慮しても回収できる可能性が高いと考えられます。

ただし金額だけで決めるのは早計です。学部卒で就職すれば2年早く実務経験を積めるため、現場で力を発揮したい人には学部卒就職が合う場合もあります。

進学と学部卒就職の比較軸を、表で整理します。

比較軸大学院進学学部卒就職
初任給の目安約25.5万円約22.6万円
社会人経験の開始2年遅い2年早い
就ける専門職研究開発職など幅広い設計・生産技術が中心
専門性の深さ修士研究で深められる実務を通じて積む

この4軸を自分の希望と照らし合わせると、どちらが向いているか見えてきます。研究開発職を目指すなら進学、早く現場で成果を出したいなら学部卒就職という整理がひとつの目安です。

進学率データを進路選択に活用する方法

進学率データは、全国平均ではなく自分が志望する分野と大学の数字で見ることが大切です。同じ理系でも理学と農学では進学率が大きく異なり、平均値だけを見ると判断を誤ります。

活用の手順はシンプルです。まず志望分野の進学率を学校基本調査で確認し、次に志望大学の学部別データと突き合わせます。

志望大学の進学率が分野平均より高ければ、その環境では院進が後押しされていると判断できます。

最後に、その数字を自分の目標職種と重ねます。研究開発職のように修士が前提の道なら進学率の高さは追い風になり、学部卒で就ける職種を狙うなら進学率にとらわれる必要はありません。

進路選択に活用する流れをまとめます。

  • 志望分野の進学率を学校基本調査で確認する
  • 志望大学の学部別進学率と比較し、環境の傾向を読む
  • 目標とする職種が修士を前提とするかを照合する
  • 進学率は判断材料のひとつと位置づけ、希望職種を軸に決める

進学率はあくまで全体の傾向を示す指標です。最終的な判断は、自分が何をしたいかという目標を起点に据えると、納得感のある進路選択につながります。

まとめ:理系大学院の進学率は分野や大学で大きく変わる

本記事では、理系大学院の進学率について、学校基本調査でわかる全国平均や文系との差、年次推移、国公立と私立の違いを解説しました。あわせて理学・工学・農学・薬学といった分野別の傾向や、進学率が高い大学のランキングの読み方、進学すべきかを判断する考え方も整理しています。

本記事のポイントをおさらいします。

本記事のポイント

  • 進学率は文部科学省の学校基本調査で確認できる
  • 理学・工学は高く農学や薬学とは傾向が異なる
  • 進学率の高低は研究志向の強さを示す目安

分野別と大学別の数字を押さえることで、進学率の高低が何を意味するのかを読み解き、自分の進路選択の客観的な後ろ盾にできます。学部卒就職との比較視点も得られ、納得感のある判断につながります。

進路選択や大学院連携について個別に相談したい方は、お問い合わせや資料請求からお気軽にご連絡ください。

理系大学院の進学率に関するよくある質問

参考文献

  1. 文部科学省 学校基本調査 令和7年度 結果の概要
  2. 文部科学省 学校基本調査

執筆者

Daigakukan Renkei 編集部
Daigakukan Renkei 編集部

編集部

大学院生のための総合情報メディア「Daigakukan Renkei」編集部。元大学院生の運営者を中心に、自身のリアルな経験と最新のデータに基づき、研究、キャリア、生活、メンタルヘルスに役立つ情報をわかりやすくお届けします。

監修者

Daigakukan Renkei リサーチチーム
Daigakukan Renkei リサーチチーム

リサーチチーム

「Daigakukan Renkei」に掲載される記事の事実確認とデータ収集を担う専門チームです。各種官公庁の統計、学術動向、奨学金や就職市場の最新データを日々調査・分析しています。客観的かつ信頼性の高い一次情報に基づいたコンテンツ監修を行っています。

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