ポスドクとは?年収・助教との違い・その後をわかりやすく解説
この記事のポイント
ポスドクとは博士号取得後に大学や研究機関で任期付きで研究する研究員で、博士研究員とも呼ばれます。助教と違い教員職ではなく研究に専念する立場です。学振特別研究員PDなら年収約434万円、平均年齢は約38歳。ポスドク問題を背景に、その後は民間就職も主要な進路となっています。
「ポスドクってよく聞くけれど、博士や助教と何が違うの。年収や任期はどうなっていて、その先のキャリアは大丈夫なのか知りたい」
こうした疑問に答えます。
本記事の内容
- ポスドクとはの定義と博士研究員との関係
- ポスドクと助教や博士との違い
- ポスドクの年収と平均年齢やその後の進路
ポスドクとは、博士号を取得した後に任期付きで研究を続ける研究者のことで、博士研究員とも呼ばれる立場です。
年収や平均年齢、深刻化するポスドク問題の実態、民間就職を含めたその後の進路まで公的データをもとに整理するので、進路に不安のある方はぜひ最後まで読んでみてください。
ポスドクとは何かと意味
ポスドクとは、博士号を取得した後にアカデミア(大学や研究機関)で任期付きの研究に従事する研究者のことです。英語のpostdoctoral researcher(ポストドクター)を略した呼び方で、日本語では「博士研究員」とも呼ばれます。
このセクションでは、ポスドクとは助教とどう違うのか、その定義、雇用形態、仕事内容を公的資料に基づいて整理します。
ポスドクの定義と博士研究員との関係
ポスドクとは博士研究員と同じ立場を指す言葉で、両者は呼び方が違うだけの同義語です。英語のpostdoctoral researcherを「ポスドク」とカタカナ略称で表すか、「博士研究員」と和訳で表すかの違いに過ぎません。
文部科学省はポストドクター等を、博士の学位を取得した者または所定の単位を修得して博士課程を満期退学した者のうち、任期付きで採用され研究業務に従事し、教授・准教授・助教・助手といった学校教育法第92条に基づく職に就いていない者と定義しています。つまりポスドクとは助教の手前に位置し、教育・管理の責任を持たずに研究へ専念する立場です。
以上から、ポスドク英語表記のpostdocと「博士研究員」は、同じ研究者を指す言葉だと理解できます。
ポスドクの雇用形態と任期
ポスドクの雇用形態は任期付きが原則で、その採用ルートはいくつかに分かれます。任期付きが基本となる理由は、研究費や人件費の財源があらかじめ期限付きで割り当てられているためです。
主な雇用形態は次の3つに整理できます。
| 雇用形態 | 概要 | 代表例 |
|---|---|---|
| 特別研究員型 | 学術振興団体から研究奨励金を受ける | 日本学術振興会の特別研究員PD |
| 研究機関雇用型 | 大学や研究機関に直接雇用される | 大学の特任研究員 |
| プロジェクト雇用型 | 特定の研究プロジェクト資金で雇用される | 外部資金プロジェクトの研究員 |
任期は1年から5年程度が一般的で、1年ごとの更新を重ねる契約も多くみられます。任期満了後の地位や職の保証がない点が、ポスドク やばい・ポスドク 末路・ポスドク問題 とは何かが語られる背景です。
給料は雇用条件によって幅があり、ポスドク 給料は年収300万円から600万円程度が目安になります。
ポスドクの主な仕事内容
ポスドクの主な仕事内容は研究そのもので、教育や管理の業務は基本的に含まれません。研究に専念できる理由は、学生への講義や研究指導を担う助教とは職務の範囲が異なるためです。
具体的な仕事には次のようなものがあります。
- 実験やデータ分析などの研究活動
- 研究成果をまとめる論文の執筆と投稿
- 国内外の学会での発表や情報交換
なお優れた若手研究者を支援する制度では、ポスドク 海外の研究機関に渡って経験を積む人も少なくありません。研究に集中できる一方で任期の不安が伴う、これがポスドクとは何かを語るうえで欠かせない実態です。
ポスドクと助教や博士の違い
ポスドクとは博士号取得後に任期付きで研究を続ける立場であり、助教や博士(ドクター)、特任助教とは性質が異なります。混同されやすい理由は、いずれも大学や研究機関に関わる言葉で見た目が似ているからです。
ここでは公的な定義をもとに、それぞれの違いを整理します。下の表が全体像のまとめになります。
| 用語 | 性質 | 教員かどうか | 任期 |
|---|---|---|---|
| ポスドク | 任期付きの研究員という職・立場 | 教員ではない | あり(多くは1〜3年) |
| 助教 | 学校教育法上の正規の教員職 | 教員 | 任期付きも多い(大学により異なる) |
| 博士(ドクター) | 学位の名称 | 立場ではない | 学位なので任期の概念なし |
| 特任助教 | 外部資金による任期付きの教員職 | 教員 | あり(プロジェクト期間) |
ポスドクと助教の違い
ポスドクと助教とはの違いですが、最大の違いは教員かどうかという点にあります。助教は2007年の学校教育法改正で導入された正規の教員職で、学校教育法第92条に基づき学生を教授し研究を指導する役割を持ちます。
一方ポスドクは、正規の教員職には就いていない任期付きの研究員という立場です。具体的には、助教が研究に加えて講義や学生指導を担うのに対し、ポスドクの業務はおもに研究に限られます。
アカデミアのキャリアでは、ポスドクを経て助教へ進むのが一般的な道筋。つまり助教は安定した正規ポスト、ポスドクはその前段にある任期付きの立場という違いがあります。
ポスドクとドクターや博士の違い
ポスドクとドクター(博士)の違いは、職か学位かという根本的な区別です。ドクターや博士は、大学院の博士課程を修了して得られる「学位」の名称であり、人の身分や仕事そのものを指しません。
これに対しポスドクは、その博士号を取得した人が就く「職・立場」を表します。たとえば博士号を持っていても、企業に勤めればポスドクではありません。
逆にポスドクとして働く人は、ほぼ全員が博士号を持つドクターです。「ポスドクとは助教のことか」と誤解されることもありますが、ポスドクは学位を得た後に研究を続ける任期付きの研究員であり、学位そのものを指す博士とは別の概念になります。
ポスドクと特任助教の違い
ポスドクと特任助教とはの違いは、教員職に就いているかどうかです。特任助教は、企業からの寄付や国の研究費など外部資金で雇われる任期付きの教員で、多くは1〜3年程度のプロジェクト単位で採用されます。
学校教育法に明文の規定はないものの、所属組織では正規の助教と同等に学生を教授し、研究を指導できる立場。これに対しポスドクは教員ではなく、研究業務が中心になります。
両者とも任期付きという点は共通しますが、教育や学生指導の役割を担えるのが特任助教、研究に専念するのがポスドクという整理ができます。次の点が見分けの目安です。
- 教員として講義や研究指導ができるなら特任助教
- 研究中心で教員職に就いていないならポスドク
- 任期がある点は両者に共通する特徴
ポスドクの年収と平均年齢
ポスドクとは博士号を取得した後に任期付きで研究に従事する研究者を指し、その待遇は雇用先によって差が大きいのが実情です。平均的な大学教員の年収と比較すると、年収はおおむね400万円から600万円程度と低めに抑えられており、平均だけでは実態を捉えきれません。
ここでは平均年収と給与水準、雇用先別の給与、平均年齢と任期の実態を公的調査の数字で確認します。
ポスドクの平均年収と給与水準
ポスドクの平均年収は、雇用先や研究費の財源によって幅があるものの、目安として400万円から600万円程度です。文部科学省 科学技術・学術政策研究所(NISTEP)の「ポストドクター等の雇用・進路に関する調査(2021年度実績)」では、月額給与水準で最も多かったのが35万円以上40万円未満の16.8%でした。
次いで多かったのが30万円以上35万円未満の16.4%で、この層は年収に換算すると約360万円から420万円にあたります。一方で20万円未満が15.2%を占め、ポスドクが「やばい」「給料が安い」と語られる末路の背景には、研究員の給料のばらつきが大きい実態があります。
学振特別研究員など雇用先別の給与
ポスドクの給与は、誰がその人件費を負担するかで大きく変わります。代表的なのが日本学術振興会(学振)の特別研究員PDで、研究奨励金として月額362,000円が支給され、年収にすると約434万円です。
大学や研究機関がプロジェクト予算で直接雇用する場合は、月給25万円から40万円程度と機関ごとにばらつきがあります。海外で研究するポスドクや学振のCPD(月額446,000円。2023年度採用分を最後に新規募集は停止)のように、より高い水準で支給される枠もあります。なお2023年度からは、学振PDが登録された受入機関に雇用され、研究奨励金ではなく機関から給与を受ける仕組みも始まっています。
| 雇用先・区分 | 月額の目安 | 年収換算の目安 |
|---|---|---|
| 学振 特別研究員PD | 約362,000円 | 約434万円 |
| 学振 特別研究員CPD(新規募集停止中) | 約446,000円 | 約535万円 |
| 大学・研究機関の直接雇用 | 25万〜40万円 | 約300万〜480万円 |
ポスドクの平均年齢と任期の実態
ポスドクの平均年齢は高く、任期の短さが大きな課題となっています。前述のNISTEP調査によると、ポスドクの平均年齢は38.0歳(男性37.5歳、女性38.9歳)で、30代半ばから後半が中心であり高齢化が指摘されています。
任期については「3年未満」が77.0%と大多数を占め、短い契約を更新しながら不安定な立場で研究を続ける構造です。こうした任期と高齢化の問題は「ポスドク問題」と呼ばれ、安定した終身雇用ポストであるテニュア取得や、助教との違いを考えるうえでも重要なポイントになります。
助教が比較的安定した職位であるのに対し、ポスドクは任期付きの研究員という位置づけです。ポスドクとは助教の手前の不安定なキャリア段階だと整理できます。
ポスドク問題とその後のキャリア
ポスドクとは博士号取得後に任期付きで研究を続ける研究者を指し、その任期切れ後の進路の不安定さが「ポスドク問題」として長く議論されてきました。「やばい」「末路」といった言葉が語られる背景には、ポストの不足という構造的な事情があります。
ここではポスドク問題とは何かを整理し、深刻化した背景と、ポスドクのその後の進路や民間就職の実態を公的調査の数字で確認します。
ポスドク問題とは何か
ポスドク問題とは、博士号取得者やポスドクの増加に対して、助教や教授といった常勤ポストが不足し、任期切れ後の進路が不安定になる構造的な課題です。理由は需給のミスマッチにあります。
文部科学省 科学技術・学術政策研究所(NISTEP)の「ポストドクター等の雇用・進路に関する調査(2021年度実績)」によると、翌年度もポスドクを継続した人は67.9%にのぼります。任期付きの不安定な立場が長期化しやすく、ポスドク末路への不安が語られる一因です。
英語ではポスドクをpostdoctoral researcher(ポストドクトラル・リサーチャー)と呼び、海外でも若手研究者の任期付き雇用は共通の課題になっています。ポスドク問題とは日本に限らない国際的なテーマと言えます。
ポスドク問題が深刻化した背景
ポスドク問題が深刻化した背景には、1990年代以降の政策があります。なかでも大学院重点化政策とポストドクター等1万人支援計画、任期制の導入が大きな要因です。
大学院重点化により博士課程の定員が拡大し、博士号取得者が増えました。さらに1996年の第1期科学技術基本計画のもとで国が進めたポストドクター等1万人支援計画は、競争的な研究環境を担う若手研究者を生み出す一方で、その多くを期限付きの雇用に置く前提でした。
背景を整理すると次のとおりです。
- 大学院重点化で博士課程進学者が増え、博士号取得者が大幅に増加
- ポストドクター等1万人支援計画と任期制導入で任期付きポスドクが急増
- 受け皿となる常勤ポストや民間企業の採用が追いつかず需給が不均衡
このように供給だけが先に増え、安定したポストが伴わなかったことが、ポスドク問題を深刻化させました。
ポスドクのその後の進路と民間就職
ポスドクのその後の進路は、アカデミアへの残留と民間就職に大きく分かれます。常勤ポストは限られ、近年は民間企業へ進む流れも広がっています。
前述の調査(2021年度実績)では、翌年度に大学教員やその他の研究開発職へ職種を変更したポスドク等は2,354人(17.2%)で、翌年度もポスドク等を続けた人が67.9%でした。
ポスドクと助教の違いを意識するなら、助教は比較的安定した常勤職、ポスドクはその手前の任期付きという位置づけです。常勤ポストの椅子は限られ、全員がアカデミアに残れるわけではありません。
| その後の進路 | 区分 | 目安となる傾向 |
|---|---|---|
| ポスドク継続 | 任期付き研究員 | 翌年度も継続が67.9%で最多 |
| アカデミア常勤へ | 助教・講師など | 職業変更者の半数超が大学教員へ |
| 民間就職など | 企業・公的機関等 | 専門性を生かした転身が拡大 |
民間就職では研究で培った課題解決力やデータ分析力が評価され、メーカーの研究開発職やデータサイエンティストなどへの道があります。ポスドクとは助教を目指すだけの立場ではなく、博士の転職という民間就職の選択肢も含めて進路を考える段階だと整理できます。
まとめ:ポスドクとは博士号取得後に研究を続ける任期付き研究員
本記事では、ポスドクとはどのような立場かという定義から、助教や博士との違い、年収と平均年齢、ポスドク問題とその後のキャリアまでを順番に整理しました。ポスドクは博士号取得後に任期付きで研究を担う研究員であり、安定した常勤職に移るまでの通過点に位置づけられます。
本記事のポイントをおさらいします。
本記事のポイント
- ポスドクとは博士号取得後に任期付きで研究する研究員で博士研究員と同義
- 助教は正規の教員職である一方、ポスドクは教員ではなく任期付きの研究員という違いがある
- 平均年収はおおむね400万円台で平均年齢は約38歳、ポスドク問題を背景に民間就職も主要な進路
ここまで読み進めたことで、ポスドクの実態とその後の進路の選択肢が整理でき、キャリアを考える材料がそろったはずです。
博士人材のキャリア設計や民間就職、産学連携についてさらに詳しく知りたい方は、お気軽にお問い合わせください。
ポスドクとはに関するよくある質問
参考文献
執筆者
編集部
大学院生のための総合情報メディア「Daigakukan Renkei」編集部。元大学院生の運営者を中心に、自身のリアルな経験と最新のデータに基づき、研究、キャリア、生活、メンタルヘルスに役立つ情報をわかりやすくお届けします。
監修者
リサーチチーム
「Daigakukan Renkei」に掲載される記事の事実確認とデータ収集を担う専門チームです。各種官公庁の統計、学術動向、奨学金や就職市場の最新データを日々調査・分析しています。客観的かつ信頼性の高い一次情報に基づいたコンテンツ監修を行っています。
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