海事分野における高専・産業界連携による人材育成システムの開発

四面を海で囲まれた日本にとって、海運は重要な輸送手段である。安全で安定した海上輸送の確保には海運を担う人材の育成が不可欠であるが、海上輸送のグローバル化と技術革新の進展により、海事技術者として期待される能力も大きく変貌し、海事教育自体の見直しも行なわれている。 商船学科を有する五つの高等専門学校と海事関連団体である(社)日本船主協会、(社)全日本船舶職員協会、全日本海員組合、国際船員労務協会がひとつのチームとなり、グローバル化に対応した“1. 新たな海事技術者に必要な資質の涵養”と技術革新に対応した“2. 新たな海事技術者に不可欠な知識・技能の育成”に取組み、海運界が求めている時代に適応できる「柔軟で高度な海事技術者」の育成を目指すものであり、海事教育機関である高等専門学校・商船学科として必要となる“3. 新たな海事技術者を確実に継続的に育成し得る高質な海事教育システム”の実現を試みるものである。

連携校
連携機関
富山高等専門学校 鳥羽商船高等専門学校 広島商船高等専門学校 大島商船高等専門学校 弓削商船高等専門学校 船主協会 全船協 全日海 国船協
説明資料

―連携取組で育てたい人材像とは。

 この取組で目指すのは、海運界におけるグローバル化と技術革新に対応した資質と知識・技能を身に付け、時代に適応できる柔軟で高度な海事技術者の育成です。

―そのような人材を必要とする背景には、どのような課題があるのでしょうか。

 四面を海で囲まれた日本にとって、安全で安定した海上輸送の確保には海運を担う人材の育成が不可欠ですが、海上輸送のグローバル化と技術革新の進展により、海事技術者として期待される能力も大きく変貌し、海事教育自体の見直しが必要となっています。

―なぜこの5高専で連携することになったのですか。

 海事教育を担う商船学科を有する全高専、即ち、富山高専、鳥羽・広島・大島・弓削の商船高専がひとつのチームとなって取り組むことになりました。全国各地の高専商船学科において実践してきた海事技術者育成上の経験と力を結集して取り組みます。

―取組は5年間実施します。どのような計画を立てていますか。

 本取組は新たな海事技術者に必要な①「グローバル化に対応した英語力等の資質の涵養」、②「技術革新に対応した船舶関連の知識・技能の育成」、③「これらを高専商船学科で確実に実現する高質な教育システムの構築」の目標を目指した三種プロジェクトから構成され、平成24年度は各目標への準備を行ない、平成25年度の試行を経て、平成26年度から本格的に実施する予定です。また、取組終了後、連携機関である海事関連団体の協力と支援を得て、本取組で構築した新たな海事技術者育成プログラムの継続的な実施に向けた自立化を計画しています。

―この事業に採択されたことで、新たにどのようなことができるようになりますか。 本取組では開発した新たな教育プログラムを統合し、「5高専・商船学科生約千名の為の将来に向けて新たな海事技術者を確実に継続的に育成し得る高質な海事教育システム」として昇華できると考え、目標としています。

―取組の中には、各大学等でこれまで行っていた活動のレベルアップを図るものもあると思いますが、それはどのようなものですか。

 連携校はこれまでキャリア教育と学び方などの学生の視点からの教育改善を実施してきました。連携機関とともに、グローバル化と技術革新の視点からの教育改善について検討し、英語力向上のための教育補助員や教育拠点の整備などを例とする新たなプログラムを加え、5高専・商船学科生約千名を対象とした能力の向上を図ります。

―連携の成果はどのような形で社会に示すことができるのでしょうか。具体的な成果指標のイメージはありますか。

 学生は新たな海事技術者として必要となるグローバル化と技術革新に対応した資質と知識・技能を身に付けることができます。グローバル化に対応した資質としてはTOEICスコアや国際インターンシップ参加者数の向上で、技術革新に対応した知識・技能としては海技士資格試験合格率の向上などで確認します。本取組で開発した新たな海事技術者を目指した高専・商船学科の教育システムにより、海運界と海事業界で将来に渡って活躍する人材を送り出します。

ステークホルダーからのメッセージ

  一般社団法人 全日本船舶職員協会 会長            内 田 成 孝
 小中学生の海や海運に関する認識は極めて薄く、貿易立国の日本にとって船員教育の推進は困難をきたし、後継者不足に悩んでいます。
 船員教育における学生募集は全国規模となり、商船高専卒業生の団体である我々は、学校・同窓会と連携して学生募集の協力を続けております。
 海運界に受け入れてもらえる、良質の船員を送り出すため現場で働く者の立場から、船員教育の質的向上に向け、新たな海運の人材育成モデルの構築に協力し、実際の海運に通用する人材育成に協力してまいりたいと思います。

関連タグ 富山県 教育 海事技術者 海事教育 商船学科 高等専門学校 海事関連団体
事業URL http://tms-com.net/mpt-pro/index.html(外部サイト)
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