KOSEN発”イノベーティブ・ジャパン”プロジェクト

本取組は、エンジニア教育において学生のイノベーション能力涵養を強く促すために、7つの工業高専が連携して教育課程を創り出し、これによって日本の基幹産業創出に教育面で貢献することを目的とする。 内容は、東京高専の「社会実装プロジェクト」(2011年度試行)を中心とする7高専の実績を基礎に、「何を」創りだすかを考える能力の強化を図る。学生に現実の社会問題に対峙させ、ユーザーとの対話から問題の工学的解決法を生み出すことを研究させる。連携により、各校の取組や成果の融合及び学生同士の交流学習を可能にし、さらに人数規模を確保し教育効果の評価を確実なものにする。本取組を要にして、エンジニア育成の将来像検討、学生と教員による連続ワークショップ、Webや紙面を通しての社会への発信を行い、日本の強みを生かしたエンジニアリング・デザイン科目とテキスト開発を行う。もって高専教育を始めとする工学教育の将来像を提示する。

連携校
連携機関
東京工業高等専門学校 一関工業高等専門学校 小山工業高等専門学校 長野工業高等専門学校 沼津工業高等専門学校 和歌山工業高等専門学校 沖縄工業高等専門学校
説明資料

―連携取組で育てたい人材像とは。

 この取組で目指すのは、イノベーションを実現するポテンシャルをもったエンジニア(イノベーティブ・エンジニア)を育成することです。

―そのような人材を必要とする背景には、どのような課題があるのでしょうか。

 現在、重大な転換期を迎えている日本企業にとって喫緊の課題は基礎研究や技術開発の成果をもとに新たな基幹産業を創出することです。そのため「何を」作り出すかを考える高い能力を持つエンジニアの育成が急務で、エンジニア教育を担う高専としての取組が急がれています。

―なぜこの7高専で連携することになったのですか。

 従来、連携校では様々な特色ある教育資源やノウハウを蓄積しており、「技術の社会実装」のコンセプトのもと、この7高専で連携することにより新しい高専教育を効率的かつ効果的に構築することが可能となるためです。

―取組は5年間実施します。どのような計画を立てていますか。

 平成24年度は生活を豊かにするサービスを実現するものづくり「社会実装コンテスト」開催に向け、学生に「技術の社会実装」に取り組む経験を積ませるとともに、各校のカリキュラムや取組事例の調査を実施します。平成25年度からは科目と教材の開発及び試行に向けた事業を展開します。平成27年度からはエンジニアリング・デザインを中心に標準テキストの作成に着手し、事業終了までに本科と専攻科を融合した「イノベーション特科」(仮称)の教育プログラムを導入する計画です。また事業期間中に蓄積された成果やノウハウを連携校と共有することで、学生間の交流学習も容易になりますので、事業終了後も取組中に開発した教育プログラムや教材を活用しイノベーティブ・エンジニアの育成に取り組んでいきます。

―この事業に採択されたことで、新たにどのようなことができるようになりますか。

 工学教育等に精通する特命教授チームを立ち上げ、全国高専でワークショップ等を開催することにより、各高専の連携を強化し成果やノウハウを多くの教員に普及させることが可能となります。

―取組の中には、各大学等でこれまで行っていた活動のレベルアップを図るものもあると思いますが、それはどのようなものですか。

 平成23年度に東京高専が試行した「社会実装プロジェクト」を基に、連携校に蓄積された特色ある教育資源やノウハウを共有し、高専全体で導入可能な教育プログラムを効率的に展開します。これにより、「イノベーティブ・エンジニア」を千人規模で育成し、新たな日本の基幹産業の創出に向けたインパクトを持つことが可能となります。

―連携の成果はどのような形で社会に示すことができるのでしょうか。具体的な成果指標のイメージはありますか。

 7高専で推進する「社会実装プロジェクト」を一つのモデルとして、連携機関の協力を得ながら社会の要請に沿った学生の育成を推進します。これにより、高専が狭義の技術開発にとどまらないイノベーションを実現するイノベーティブ・エンジニアの育成を主導し、新たな日本の基幹産業の創出に人材育成面から貢献できるのです。

ステークホルダーからのメッセージ

  公益社団法人日本工学教育協会 専務理事            剣 持 庸 一
 イノベーションに着目した新しいエンジニア教育が、今まさに求められています。取組の柱である「技術の社会実装」は、エンジニアがユーザーやコミュニティーとの協働により新たな価値を創造していくもので、教育面でもコミュニケーションやエンジニアリング・デザインの強化に大きな効果があると考えています。人材育成で実績を重ねてきた高専が、産業界等との幅広い議論を重ねながら新たな基幹産業を担う「イノベーティブ・エンジニア」を育成していくことを期待しています。

関連タグ 北海道 岩手県 栃木県 東京都 和歌山県 沖縄県 工業 教育 専門教育 FD・SD 実践型 大学外連携 情報発信 国際化 イノベーション エンジニア教育 高専教育 社会実装
事業URL http://innovative-kosen.jp/(外部サイト)
更新履歴
成果報告  
MESSAGE

学生の回答に審査員の先生方も思わず皆脱帽〟

事業推進代表者 古屋 一仁

 先日、7高専の学生と教員、公益社団法人日本工学教育協会、八王子商工会議所等の審査員のメンバーが「東京大学本郷キャンパス」に集い、本プロジェクトの活動成果報告を兼ねての「社会実装コンテスト」を行いました。

コンテストでの一場面。
あるチームのプレゼンが終わり、審査員の先生が、学生に質問。
「あなたは、今回の社会実装で、特に何を工夫しましたか?」
学生の回答、
「ユーザーの人達と一緒にお茶を飲みながら会話したことですね」

すると同時に、会場内のあちこちから「そうだ、そうだ」の声が沸き起こり、それは、これからの日本の未来を支えて行くエンジニアの卵達が互いに〝共感し合った素敵な瞬間〟でありました。

 ユーザーとの信頼関係が〝成功の鍵〟であることを、すでに学生はしっかりと認識していました。これには〝審査員の先生方も思わず皆脱帽〟です。教員が適切な環境を整えることで学生は、教員が思う以上に学んでくれました。これからがとても楽しみです。

 引き続きご理解とご支援をよろしくお願い申し上げます。