分野別到達目標に対するラーニングアウトカム評価による質保証

昨年度国立高専機構が定めた分野別の到達目標(モデルコアカリキュラム(試案))に従って全ての国立高専が質保証された人材を輩出しそれを社会に対して可視化するために、連携高専が共通の指標による到達度(アウトカム)の評価手法を構築する。このため連携機関との協議によりPISA型の到達度評価方法の導入や、その継続的な運営体制についても検討する。さらに、全高専の科目のナンバーリングルールの策定や、科目間連関の明確化を行い、限られた人的資源(教員)での連携教育を円滑化するシステムを構築する。また、分野別到達目標で一定の質保証した上で、各高専が教育上の特徴(強み)とする機能も明確化した高専ポートレートを、産業界や教育機関とも連携して作成する。また高等学校とも連携し、後期中等教育機関としての教育連携による教材開発を行うことで高校教育の空洞化の解消へ協力するとともに、FD活動を行う。

連携校
連携機関
函館工業高等専門学校 仙台高等専門学校 茨城工業高等専門学校 長野工業高等専門学校 鳥羽商船高等専門学校 鈴鹿工業高等専門学校 高知工業高等専門学校 日本工学教育協会 組込みシステム技術協会 日本マイクロソフト 豊橋技術科学大学 長岡技術科学大学 北海道高校理科研究会 函館高専地域連携協力会
説明資料

―連携取組で育てたい人材像とは。

 この取組で目指すのは、高専機構が定めた「分野別到達目標(モデルコアカリキュラム)」に従った人材育成です。単に専門能力のみならず、人間力やエンジニアリングデザイン能力など多面的な能力までも質保証された人材です。

―そのような人材を必要とする背景には、どのような課題があるのでしょうか。

 今日、高専は国際化や技術の複合・融合化の中、高度化を進める方針を打ち出しています。この際にもコアとなる部分の土台がしっかりできてこそ、高度化は進められますが、基礎部分も多様化してしまっているのが明らかになっています。このため、大学や企業は自らの機関での教育の出発点が明確にできにくくなっているのが現状です。

―なぜこの7高専で連携することになったのですか。

 平成21年に始まった分野別到達目標策定の検討に主体的にかかわった教員が所属する高専です。メンバーは、当初から「質保証システムの構築」までを念頭に入れて検討を進めていました。従って、各高専内での事業推進への体制は強固です。

―取組は5年間実施します。どのような計画を立てていますか。

 平成24年度は到達度試験策定に向けた先行する共用試験の調査を行い、本事業での試験のアウトラインを固めます。また、国際ルールを踏まえた科目のナンバリングルールの策定や、分野別到達目標と各校のカリキュラムのマッチングの確認システムの構築を行います。さらに、教科書、ICTを活用した高校課程での利用も視野に入れた学習補助教材作成への着手および、先行的な学習支援を開始します。平成25年度には、構築できたシステムの試用や問題点の抽出を行います。平成28年度に最終のシステムを構築し、29年度からの到達度試験の自立的運用方法の決定や51高専への拡大に向けた事業推進がなされます。

―この事業に採択されたことで、新たにどのようなことができるようになりますか。

 学生個々の学習状況との関連も含めてアウトプットできるようになるので、学生の個別指導や全    学的FD活動への定量的データとして活用できるようになります。

―取組の中には、各大学等でこれまで行っていた活動のレベルアップを図るものもあると思いますが、それはどのようなものですか。

 仙台高専を中心に、組込み技術に関する標準化が先行してすすめられています。これを先導事例として到達度試験を策定していきます。また、高専機構では数学と物理の一斉到達度試験をすでに実施しています。今回は問題作成のシステムや、学習状況と成績の関係も把握できるようになるのが特徴です。

―連携の成果はどのような形で社会に示すことができるのでしょうか。具体的な成果指標のイメージはありますか。

 全高専生が分野別の到達目標をクリアし、さらに各高専独自の個性ある教育によって成長を続けていける資質を備えたことが、到達度試験により確認できるようになります。特に技術科学大学は、高専―技科大の連続性を特徴とする個性ある人材育成の出発点が明確化できるようになります。

ステークホルダーからのメッセージ

  公益社団法人日本工学教育協会 専務理事         剣 持 庸 一
 単に専門能力のみならず、人間力やエンジニアリングデザイン能力など多面的な能力がある人材が、今まさに求められています。そのためには、本取組の柱となる「到達度試験策定」は個性ある人材育成の出発点が明確化できる効果があると考えています。このため,本事業の推進において関係機関と十分に協議し質保証された人材を育成されることを期待します。

関連タグ 北海道 教育 PISA型試験 質保証 ポートレート 科目ナンバーリング 機能分化
事業URL http://www.hakodate-ct.ac.jp/~w-loqa/(外部サイト)
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