ITを活用した超高齢社会の到来に対応できる歯科医師の養成

本取組は超高齢社会の到来に対応できる全身と関連づけて口腔を診ることができ、基礎疾患を有する患者の歯科治療を安全に行える歯科医師を養成するために、連携体制をとってきた3大学と地域医療教育を担当する周辺歯科医師会が協働するものである。ITを活用した歯学教育プログラムを構築して、①臨床推論能力,②コミュニケーション能力,③自己評価能力を養成するものである。これらの臨床能力を総合的に身につけるために、まず基礎的な力をe-learningで身につけ、臨床推論能力、コミュニケーション能力を仮想患者教育システム(VP)で養成し、さらに臨床における自己評価能力を電子ポートフォリオで養うのが特徴である。ITを活用するので、いつでも多施設で教育とその結果を共有することができ、ステークホルダーである歯科医師会も学生の成績と臨床能力(コンピテンシー)を比較検討し、歯学教育に対して具体的な提言をすることができることが特徴である。

連携校
連携機関
昭和大学 北海道医療大学 岩手医科大学 蒲田歯科医師会 大森歯科医師会 目黒区歯科医師会 荏原歯科医師会 品川歯科医師会 北海道歯科医師会 札幌歯科医師会 岩手県歯科医師会 盛岡市歯科医師会
説明資料

―連携取組で育てたい歯科医師像とは。

 この取組で目指すのは、全身と関連づけて口腔を診ることができ、基礎疾患を有する患者の歯科治療を安全に行える歯科医師の育成です。

―そのような歯科医師を必要とする背景には、どのような課題があるのでしょうか。

 超高齢社会の到来により、歯科を受診する患者の基礎疾患の有病率と服薬している患者が増加しています。これらの患者に安心安全な歯科診療を提供できる歯科医師を養成することは喫緊の課題です。また今後さらに増加すると考えられる、口腔乾燥症、顎関節症、嚥下障害に対して、基礎教育を充実させることによって、診療参加型臨床実習や臨床研修を促進することは、重要な課題です。

―なぜこの3大学で連携することになったのですか。

 平成15年から連携3大学を含む4大学協議会を作り、教育研究に関する定期協議を年2回行い、教員の交流を図ってきたことが基礎となっています。北海道、東北、東京と異なる地域の歯科医師会や歯科医院との連携に強みを持つ大学の力を結集します。

―取組は5年間実施します。どのような計画を立てていますか。

 平成24年度は3大学とそれぞれの地域の歯科医師会が連携し、ITを活用した教育センターを設立します。第1回のワークショップを開催し現在各大学が使用しているIT教材を共有した上で、3大学が連携して新しい教材を開発します。平成25年度から実際にこれらの開発したIT教材を3年生に対して実施します。その後順次4年、5年、6年生に対する教材を開発し、授業で活用します。平成28年度に卒業する学生が、超高齢社会で安全・安心な歯科医療を他の医療人と協働して行えるかどうかを検証します。その結果を報告書、論文にまとめ、広く公開する予定です。取組の期間終了後も連携校とステークホルダーの拡大に励み、本取組を全国規模にする基盤を構築し、この取組の永続化という形で継続していきたいと考えています。

―この事業に採択されたことで、新たにどのようなことができるようになりますか。

 基礎疾患を有し、服薬している高齢患者の医療面接から診察、治療計画立案までの一連の過程をいつでもどこからでもウェブで学習できるようになります。3連携大学の各学年約300名(延900名)の学生に臨床を想定した能動的学習を実施するため、座学と比較して高い教育効果が期待できます。

―取組の中には、各大学等でこれまで行っていた活動のレベルアップを図るものもあると思いますが、それはどのようなものですか。

 IT教材はどの地域でもまた授業以外、いつでも活用できるため、連携3大学の3年・4年・5年生約900名が段階的にレベルを上げた教材を共通で利用します。この教育を3年間受けた学生が毎年300人輩出されます。

―連携の成果はどのような形で社会に示すことができるのでしょうか。具体的な成果指標のイメージはありますか。

 教育システムがより多様な状況に対応できるように改善され、真に高齢化社会に対応できる歯科医師が日本各地で養成できると考えています。

ステークホルダーからのメッセージ

     目黒区歯科医師会 理事           村 上 光 広
 超高齢社会を迎え、これからの歯科医師に求められるのは患者さんの全身の状態やライフステージに応じた診療を行うことができる歯科医師です。いろいろなご病気があり、お薬をお飲みの患者さんに安心して歯科診療を受けてもらえるようにするために、また口腔乾燥や味覚障害などに悩んでいる高齢者の方々にお役に立てる後輩を養成するために本事業に協力していきたいと思います。

関連タグ 東京都 医療 教育 IT活用 超高齢社会 仮想患者 臨床推論能力 コミュニケーション
事業URL http://itrenkei.wdc-jp.com/(外部サイト)
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