データに基づく課題解決型人材育成に資する統計教育質保証

今後の我が国のイノベーションを推進するには、新たな課題を自ら発見し、データに基づく数量的な思考による課題解決の能力を有する人材が不可欠である。課題発見と解決のための一つの重要なスキルである「統計的なものの見方と統計分析の能力」は文系理系を問わず必要とされることから、欧米先進国のみならず、韓国や中国においても多くの大学に統計学科が設置され、組織的な統計教育のもとに課題解決能力を有する人材を育成している。国際競争力の観点からも、我が国でも大学における体系的な統計教育の一層の充実が喫緊の課題である。本取組では連携大学による「統計教育大学間連携ネットワーク」を新たに組織して、課題解決型人材育成のための標準的なカリキュラムコンテンツと教授法を整備し、さらに統計関連学会及び業界団体等の外部団体を加えた評価委員会による教育効果評価体制を構築することによって、統計教育の質保証制度を確立する。

連携校
連携機関
青山学院大学 東京大学 大阪大学 総合研究大学院大学 多摩大学 立教大学 早稲田大学 同志社大学 大学入試センター 日本アクチュアリー会 日本科学技術連盟 日本銀行 日本経済団体連合会 日本製薬工業協会 日本統計協会 日本マーケティング・リサーチ協会 日本統計学会質保証委員会 統計関連学会連合統計教育推進委員会、 日本統計学会統計教育委員会、 応用統計学会 日本計算機統計学会 日本計量生物学会 日本行動計量学会 日本統計学会 日本分類学会
説明資料

―連携取組で育てたい人材像とは。

 この取組では、連携各大学の教育資源を有効に活用することによって、データに基づく科学的な思考力を身につけ、我が国の今後のイノベーションを担う課題解決型人材の育成を目指します。

―そのような人材を必要とする背景には、どのような課題があるのでしょうか。

 近年では、欧米諸国に加えて中国や韓国においても、統計を専門とする多くの学科・専攻が設置され、新しい技術の開発を担う人材を社会に供給しているのに対して、日本では適切なデータ処理ができる人材の供給が不足しています。

―なぜこの8大学で連携することになったのですか。

 日本の大学では、統計学に関連する分野の構成などにばらつきがあります。そこで、統計学に関連する6学会と共同でカリキュラム策定や教材開発に取り組みます。経済、工学、医学等の分野で統計の活用を推進している8団体は、指針の作成とともに、成果を評価することになりました。

―取組は5年間実施します。どのような計画を立てていますか。

 平成24年度は、社会が求める人材像を把握する一方で、従来のカリキュラムを調査し、学生の達成度を統一的に評価する試験を開始します。平成25年度以降は、連携団体傘下の企業から統計教育に対するニーズを把握するとともに、カリキュラムの改定、eラーニングによる相互利用システムの設計・開発を行います。毎年実施する計画と評価のサイクルを通じて、平成28年度には統計教育システムの運用を開始し、学習の達成度評価に基づく継続的なカリキュラム改善の仕組みを完成させます。

―この事業に採択されたことで、新たにどのようなことができるようになりますか。

 新たに学生に対する学習の達成度を評価する統一的な仕組みを作成し、毎年千人程度の学生を対象として教育の質を保証できるようになります。また、海外の学会や大学と協力して、国際的に通用する資格を導入し、その認定を受けた学生を社会に送り出します。

―取組の中には、各大学等でこれまで行っていた活動のレベルアップを図るものもあると思いますが、それはどのようなものですか。

 連携大学の中で、立教大学社会情報教育研究センターと同志社大学文理融合型教育・研究推進センターでは、すでに統計教育に関する取組を積極的に進めています。これらの活動をモデルとして、統計教育の基盤となる教材などの提供システムを構築することができます。

―連携の成果はどのような形で社会に示すことができるのでしょうか。具体的な成果指標のイメージはありますか。

 この取組で開発したカリキュラムと客観的な達成度評価システムの利用については、連携校以外の大学の参加も呼びかけ、毎年千人程度の規模で、自ら課題を発見し解決できるための能力を持つ学生を社会に送り出します。またこの取組を通じて開発された教育資源は、連携校だけでなくすべての大学等で利用可能な形で公開され、広く利用することが可能となります。

ステークホルダーからのメッセージ

 日本経済団体連合会経済政策委員会統計部会長            竹 原  功
 情報化の急速な進展と経済のグローバル化の中で、製品やサービスの品質においてはまだわが国の優位性は高いものの、新たな技術開発やコンセプトの製品化では、国際的競争力は急激に低下しています。この問題に対処するためは、自ら課題を発見し解決する能力が必要であり、それはデータに基づく科学的な思考の訓練によって獲得できるものです。経団連では、かねてから、経済を活性化するためには信頼性の高い統計の整備が重要であることを指摘してきました。経済界における適切な意思決定のためにも、客観的な統計的証拠に基づく、データ分析能力を持った人材を強く求めています。このプロジェクトが大きな成果を上げることを期待しています。

関連タグ 東京都 教育 統計科学 文理融合 課題発見 数量的思考力 データ解析
事業URL http://www.jinse.jp/(外部サイト)
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