研究者育成の為の行動規範教育の標準化と教育システムの全国展開

 近年わが国では、大学院生を巻き込む研究の場でのミスコンダクトが相次いで報告されている。欧米では、取締りという端末対応から教育というシステム対策へと重心を移している。米国では、全ての生命科学系大学院生等に、行動規範教育を義務化しているが、わが国は組織的なカリキュラムを持たず、その遅れは海外でも指摘されている。 本事業では、行動規範教育のカリキュラム構築のために、自然科学系研究者のみならず人文・社会学系専門家も加えた合意形成の場を設けe-learning教材の作成と改訂を迅速かつ継続的に行い、全国医学部長病院長会議等を通じて教材の大学院教育への活用を促進するとともに、受講後のテストを通じて成績管理を行い、米国政府が海外の共同研究者に課す国際標準を満たし、グローバルな研究を目指すわが国の研究者育成の遅れを解消する。また、アジア諸国の教育を支援し、WHOによるグローバルな教育活動に参画する。

連携校
連携機関
信州大学 東京医科歯科大学 福島県立医科大学 北里大学 上智大学 沖縄科学技術大学院大学 全国医学部長病院長会議 日本医学会 JAXA 全国遺伝子医療部門連絡会議
説明資料

―連携取組で育てたい人材像とは。

 この取組で目指すのは、グローバルな活躍をするに相応しい行動規範を身につけた研究者の育成です。

―そのような人材を必要とする背景には、どのような課題があるのでしょうか。

 近年わが国では、研究の場でのミスコンダクトが相次いで報告されています。しかし、これまでのところわが国では研究者の行動規範に関する組織的な教育カリキュラムを持たず、大学院生がその育成の過程でこれを身につける機会はほとんどありませんでした。これは、欧米諸国において、行動規範教育が研究者育成の基本中の基本として学習の機会が与えられているのとは対照的です。そして、科学研究がグローバルなものである以上、それに伴う行動規範もグローバル性をもつことが必然となってきます。

―なぜこの6大学で連携することになったのですか。

 この取組の統括者および副統括者がこれまで培ってきたつながりを活かして連携することになりました。教材作成に必要な各部門、具体的には、責任ある研究行為、ヒト対象研究、バイオセーフティ、法律・倫理、ヒトゲノム研究、留学生用教材作成に強みをもつ各大学の力を結集します。各大学はそれぞれの部門において、外部協力者の協力を得ながら教材の作成を進めていきます。

―取組は5年間実施します。どのような計画を立てていますか。

 平成24年度には11単元のeラーニング教材を作成し、ホームページの開設や広報活動により利用者の増加を図ります。平成25年度以降、毎年11単元の教材を作成し、新規利用者の獲得(目標・各年、利用機関数16、利用者数8百名の増加)のため積極的に広報活動を行い、平成28年度には教材数55単元、利用機関数80、利用者数36百名を目指しています。また、取組の期間終了後は、拡大した利用機関からの利用料により、この取組で育成したeラーニングシステムを自立運営する予定です。

―この事業に採択されたことで、新たにどのようなことができるようになりますか。

 大学院生を対象とした行動規範に関する教材を文系・理系の研究者の合意に基づき作成することにより、わが国における標準的な行動規範のあり方について合意形成がなされ、また、米国の同様の取組を行っている団体と連携することにより、国際標準の教材作成が可能になると期待されます。

―取組の中には、各大学等でこれまで行っていた活動のレベルアップを図るものもあると思いますが、それはどのようなものですか。

 研究の場でのミスコンダクトについて、これまでの取締りという端末対応から教育というシステム対策へと重心を移すことができます。

―連携の成果はどのような形で社会に示すことができるのでしょうか。具体的な成果指標のイメージはありますか。

 学生はこの取組で作成した教材を学習すると、行動規範教育の重要性を理解します。意識の向上は、受講後のテストにより確認します。このような学生を、平成28年度までに全国で36百名育成し、グローバルな活躍ができるよう全力で取組を進めてまいります。

ステークホルダーからのメッセージ

         日本医学会長            髙 久 史 麿
 従来、研究者の行動規範教育の必要性は認識されていましたが、具体的な教育方法は確立していませんでした。今回の取組で作成される行動規範教育教材は国際標準を満たすものであり、これらの教材を研究者の登竜門である全国の大学院生に提供することは、国際標準の行動規範を理解した研究者を育成することになります。日本医学会としても、この標準教材の利用が日本全国に拡大するよう連携大学等と協働していきたいと考えています。この取組を通じて、わが国の研究者がよりグローバルな活躍ができるようになるとともに、わが国の研究の場でのミスコンダクトが減少することを期待します。

関連タグ 長野県 教育 行動規範教育 大学院教育 国際標準 ミスコンダクト e-learning
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