グローバル社会を担う次世代型獣医学系大学教育機構の構築

近年、国際的通用性をもつ獣医師養成教育の質保証システムが提唱され、我が国でも対応が急務となっている。本申請は、我が国の獣医学生の37%が在籍する関東地区の4獣医系大学と、この地域の研究・行政機関が連携して、新しいコンセプトの次世代型獣医学系大学教育機構を構築することを目的とする。本事業では、情報通信技術(ICT)を活用して、各大学や連携機関のもつ教育コンテンツをアーカイブ化し、新設する教育資源管理運営センターに蓄積するとともに、共通化教材による効率的な教育システムを構築する。また、学生や教員の移動が可能な立地条件を活かして交流授業を行うほか、各大学に特色あるスキルラボを設置して学生の技能習得と向上を図り、生命倫理を重視する動物医学の修得に不可欠なヒューマンコネクションによる実践的な教育を充実させる。これらにより、獣医学教育の質保証を担保するとともに、グローバルに活躍できる人材の育成を目指す。

連携校
連携機関
東京大学 日本大学 日本獣医生命科学大学 麻布大学 動物衛生研究所 動物医薬品検査所 国立感染症研究所 全国農業共済協会 国際獣疫局(OIE)アジア太平洋地域事務局 日本中央競馬会(JRA)総合研究所 農林水産消費安全技術センター(FAMIC)
説明資料

―連携取組で育てたい人材像とは。

 この取組で目指すのは、高度な技術と知識を兼ね備えた、グローバルに活躍できる獣医師の育成です。

―そのような人材を必要とする背景には、どのような課題があるのでしょうか。

 グローバル化で国境を越えてやってくる動物の感染症や畜産物の安全性、ペットの高度医療への対応など、獣医師に求められる社会のニーズは多様化・激変しています。国際機関でも獣医学教育の質保証が提唱され、国際的通用性をもった我が国の獣医学教育システムの構築は急務です。

―なぜこの4大学で連携することになったのですか。

 連携する関東地区の4大学には、全国の獣医学生の37%(各学年約350人)が在籍し、周囲には関連研究・行政機関が集中しています。生命倫理に基づく動物医学の習得を目指す獣医学では、学生と教員が顔を合わせて実施する教育は不可欠であり、人の移動が可能な立地条件を活かした地域連携と分野連携とを合体した形で事業を展開するためです。

―取組は5年間実施します。どのような計画を立てていますか。

 平成24年度は、情報通信技術(ICT)を活用したシステム開発を始めると共に、各大学における学生の技能習得のためのスキルラボの設置を進めます。平成25年度は、教育コンテンツをアーカイブ化し、連携による学生・教員の移動を具体化します。平成26年度は、共通化教材を活用した講義を始めます。平成27年度は、評価とフィードバックにより講義実習を充実発展させます。平成28年度には、シラバスを完成させ、本事業を完了します。取組期間終了後も、構築したリソースシステムをメディアセンターとして恒久化し、継続していきたいと考えています。

―この事業に採択されたことで、新たにどのようなことができるようになりますか。

 獣医学教育の質保証をするためのコアとなる科目(コアカリキュラムに基づく51科目)に加え、グローバル社会に対応するアドバンス科目を備えたシラバスを、連携校と連携機関で作成していきます。多様化し、高度に専門家した獣医学教育分野をカバーしながら、社会のニーズに対応した教育が可能になります。毎年、約350人の学生が受講します。

―取組の中には、各大学等でこれまで行っていた活動のレベルアップを図るものもあると思いますが、それはどのようなものですか。

 各大学に設置されるスキルラボで実習教育の充実を図ります。連携機関と共に手薄な教育分野や、より専門的な分野について、講師派遣や教材の電子化とICT活用で、教材を共有化し、バーチャルな教育機構を構築します。
 毎年約350人の連携校の学生がこれらの科目指導を受けることができます。ICTを活用した教育教材により、学生は、よりいっそう自学自習をすることが容易になり、また、視覚的に疑似体験することで、効率的で最新の教育を受けることが可能になります。

―連携の成果はどのような形で社会に示すことができるのでしょうか。具体的な成果指標のイメージはありますか。

 比較的低コストで持続更新可能な、効率的教育資源としてバーチャルな次世代型獣医学教育機構を構築し、今後の激変する社会のニーズに対応できる獣医師を育成することができます。能力の向上は、ステークホルダーとなる獣医学関連機関からの学生評価をもって確認します。国際的通用性を持つ日本の獣医師の育成は国益に直結します。そのような人材が、グローバル社会で広く活躍するよう全力で取組を進めてまいります。

ステークホルダーからのメッセージ

     農林水産省動物医薬品検査所 所長     境  政 人
 農林水産省動物医薬品検査所は、動物薬事に関する行政、検査技術及び調査研究を3本柱として業務を遂行しています。近年の動物感染症の流行に伴い新たに開発される動物用ワクチンなどの品質・有効性・安全性の確保や、動物用抗菌性物質製剤の使用による薬剤耐性菌の出現といった新たな課題に対し、科学を基礎として施策に取り組んでいます。このような背景から、連携取組には動物用医薬品分野におけるレギュラトリーサイエンス(行政科学)を基礎としたさらなる獣医学教育の充実について要請をしました。東京大学のほか関東の獣医系の3つの私立大学の力を結集し、新しい教育モデルを構築し、動物感染症への対応や産業動物・小動物臨床など社会ニーズに応えられる人材を育成することは、我が国の畜産の振興のみならず公衆衛生の向上につながります。そのために、動物医薬品検査所としては、実習の場の提供、連携取組のうちの教育コンテンツの作成、講師の派遣といった場面に参画し大学等と協働し、獣医学教育の充実に貢献したいと考えています。この取組を通じて、社会ニーズに十分対応できる獣医学教育体制が整備されることを期待しています。

関連タグ 東京都 医療 教育 ICT アーカイブ化 スキルラボ 教育資源 共通化教材
事業URL http://www.vet4u.jp/index.html(外部サイト)
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成果報告